中国NANDフラッシュ大手YMTCの親会社CCSHが、上海での新規株式公開(IPO)に向けた準備を進めている。実現すれば、中国メモリ業界で最大級の上場案件となる可能性がある。
香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が24日に報じたところによると、CCSHは増資後の発行済み株式ベースで10~12%に当たる19億8000万~24億3000万株を公開する計画だ。最大15%のオーバーアロットメントも設定する。
最終的な公募価格と調達額は決まっていない。ただ、CCSHは目論見書で、投資計画の総額を330億人民元(約5445億円)とした。内訳は量産ラインの高度化に208億人民元(約3432億円)、研究開発に122億人民元(約2013億円)を充てる。
この330億人民元という投資計画の規模は、中国DRAM大手ChangXin Memory Technologies(CXMT)が先に示した295億人民元(約4868億円)を上回る。CXMTは7月の上場で666億人民元(約1兆989億円)を調達し、上海STARマーケットで過去最大のIPOとなった。CCSHも需要次第では、大型案件として市場の関心を集める可能性がある。
実際、先行して上場したCXMTには強い買いが集まった。7月27日の上場初日には株価が466%上昇し、49人民元で取引を終えた。8月17日には61.80人民元まで上昇している。
時価総額は4兆1300億人民元(約68兆1450億円)に達し、上場後16営業日でTencent Holdingsを上回り、中国株市場で時価総額首位に浮上する場面もあった。
CCSHの業績も、上場期待を支える材料になっている。2026年1~3月期の売上高は470億人民元(約7755億円)と、2025年通期の632億人民元(約1兆426億円)に迫った。親会社株主に帰属する純利益は334億人民元(約5511億円)で、前年通期の142億人民元(約2343億円)を2倍超上回った。
収益改善の背景には、世界的なNANDフラッシュの供給不足がある。YMTCの1~3月期のNAND売上高は前年同期比393%増となった。販売価格の上昇に加え、単位当たりの生産コスト低下も寄与し、売上総利益率は前年の36.7%から78.7%へ大きく改善した。
CCSHが調達資金の相当部分を生産ラインの高度化に振り向けるのは、こうした高収益を生産能力の拡大につなげる狙いがあるためとみられる。
YMTCの世界市場での存在感も増している。Counterpoint Researchによると、2026年4~6月期のNANDビット出荷量ベースで、YMTCは世界3位となり、日本のKioxiaを上回った。市場シェアは14%だった。
一方、売上高ベースでは5位にとどまった。データセンター向けの高付加価値製品よりも、消費者向けメモリの比重が高い事業構造が影響した。
CCSHの上場が実現すれば、中国本土の投資家はCXMTとYMTCを通じ、中国メモリ産業の二大軸に直接投資できることになる。世界のメモリ需要と価格が堅調に推移する中、今回のIPOが中国メモリ業界の設備増強と研究開発をどこまで後押しするかが注目される。