暗号資産の保有者と非保有者の違いを分析した研究(写真=Reve AI)

米連邦準備制度の研究で、暗号資産投資への参加を左右する主因は、所得や年齢といった属性よりも、期待収益率とリスク認識であることが分かった。ビットコインの直近リターンを示すと投資配分意向が高まる傾向も確認され、価格上昇が新たな買いを呼び込みやすい構造が改めて浮き彫りになった。

クリーブランド連邦準備銀行は、暗号資産保有者と非保有者では、デジタル資産の将来収益率に対する見方が大きく異なると分析した。最大2万5000世帯を対象にした調査では、暗号資産を保有するかどうかは、年齢や所得、性別よりも将来の期待収益率の影響を強く受けていた。リスク認識を加味すると、その傾向はさらに鮮明になった。

こうした傾向は、株式や債券、金など、人口統計学的な属性の影響を相対的に受けやすい伝統的資産とは異なる特徴だという。

調査では、暗号資産の将来価値に対する見方が投資家ごとに大きく分かれる点も確認された。過去の値上がりが新規の買いを呼び、その買いがさらに価格を押し上げるという循環が生じ得るとしている。

一方で、先行きの収益見通しを持てない回答も多かった。2021年調査では、暗号資産を保有していない回答者の87%が、今後1年間の収益率を予想しにくいと回答した。保有者でも同様の回答は54%に達した。

これに対し、予想を示した回答者に限ると、保有者の平均期待収益率は22%と、非保有者の7%を大きく上回った。保有者は非保有者に比べ、暗号資産のリスクを相対的に低く見積もる傾向も示した。

期待収益率が実際の保有行動に与える影響も数値で示された。個人が見込む暗号資産の収益率が1ポイント上がると、保有する確率は0.8ポイント上昇した。研究チームは、この関係は伝統的な金融資産に比べて強いと説明している。

もっとも、属性要因の影響が完全になくなるわけではない。若年層、男性、所得や資産の多い世帯ほど、暗号資産市場への参加比率は高かった。ほかの条件を一定にしても、40歳未満は60歳以上に比べて暗号資産を保有する確率が13ポイント高く、男性も女性より約4ポイント高かった。

投資情報が行動を変えることも、ランダム化実験で確認された。研究チームは2025年、参加世帯に対し、ビットコインや株式、GameStop、インフレに関する情報を無作為に提示した。

その結果、ビットコインの直近12カ月のリターンを見た参加者は、暗号資産に振り向けたい投資配分比率を約2ポイント引き上げた。これは対照群の4.3%に比べ、約47%高い水準となる。その後、実際に暗号資産を購入する確率も約2.5ポイント上昇した。

一方、もともと暗号資産を否定的にみていた回答者は、同じ情報に接しても目立った反応を示さなかった。

暗号資産の値上がりが家計消費に及ぼす影響も一部で確認された。ビットコイン価格が2倍になった場合、金融資産を全て暗号資産で保有している世帯では、自動車や家具など耐久財を購入する確率が1.4ポイント上昇した。平均的な購入確率と比べると約7%高い水準だ。

ただし、暗号資産の含み益が日常的な消費増に直結するわけではなかった。研究チームは、投資家が暗号資産の利益を持続的な資産増加というより、宝くじの当選金のような「ギャンブル所得」に近いものとして受け止める傾向があると分析した。

今回の研究は、暗号資産市場の大きな変動が、ファンダメンタルズだけでは説明しにくいことを示している。研究チームは、投資家の間で共通する情報や信念が乏しい以上、価格変動の大きさは今後も暗号資産市場の顕著な特徴として残る可能性が高いと指摘した。個人の投資需要も、ビットコインそのものの価格水準だけでなく、過去の値動きを投資家がどう解釈するかに左右される見通しだ。

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