科学技術情報通信部の庁舎銘板。写真=科学技術情報通信部

韓国の科学技術情報通信部は8月24日、物理法則や数理原理を組み込んで科学現象を予測する次世代AI基盤技術の開発事業に着手したと発表した。同日には「次世代AI+科学技術(S&T)基盤技術開発事業」の着手報告会を開き、新たに採択した4課題の研究開発を開始することも明らかにした。

現在のAIは、大量のデータを学習して結果を予測する手法が中心となっている。ただ、物理法則や数理原理が重要な科学・工学分野では、AIが導いた結果の根拠を説明しにくく、未知の条件下では精度が低下しやすいといった課題がある。

このため同部は、データに加えて物理・数学的原理も活用し、科学現象をより正確かつ信頼性の高い形で解釈・予測できる基盤技術の開発を進める。併せて、既存モデルの構造的な限界を超える新たなAIアーキテクチャと学習手法の確立も目指す。

事業は、「物理・数学基盤AI解釈・予測モデル」と「次世代AI構造研究」の2分野で構成する。各分野で2課題ずつ、計4課題を採択した。

投資規模は2026年から2031年までの6年間で総額200億ウォン(約22億円)。2026年の予算は20億ウォン(約2億円)を見込む。採択された研究チームには、GPUなどの計算インフラを支援するほか、事業で確保した研究データや開発したAIモデルは公開プラットフォームを通じて開放する。

「物理・数学基盤AI解釈・予測モデル」分野では、条件や環境が変化しても安定して動作するAIモデルの開発を目指す。

ハ・ウソク氏が率いる韓国科学技術院(KAIST)の研究チームは、データに内在する因果構造と支配方程式を推論する、数理・物理基盤の因果AIモデルを開発する。条件や環境が変わっても、物理法則に基づいた結果を導けるようにする狙いだ。

ユ・ジェソク氏が率いる大邱慶北科学技術院(DGIST)の研究チームは、さまざまな現象においてどの物理法則が支配的に働くかを可視化し、AIが自ら解釈戦略を選択する「AI Mechanician(AI力学者)」の開発に取り組む。

同部は、条件変更のたびにモデルを一から検証し直す作業を減らすことで、設計・解析・検証にかかるコストと時間の削減につながるとみている。

一方、「次世代AI構造研究」分野では、既存AIモデルの学習原理や構造原理を解明し、新たなアーキテクチャの設計につなげる研究を進める。

オ・ミンファン氏が率いるソウル大学の研究チームは、AIモデルで文脈長が伸びるほど計算量が急増する構造的な限界を数学的に解明し、長文脈をより効率的に処理できる新たなAIアーキテクチャと学習手法を開発する。

ユン・チョルヒ氏が率いるKAISTの研究チームは、生成AIモデルが学習過程で性能を高める原理を数学的に解明する。これを基に、モデル構造の設計から学習、信頼性検証まで一連の工程に適用できる次世代AI開発方法論の確立を目指す。

ユン・ギョンスク科学技術情報通信部基礎源泉研究政策官は、「新たなAIモデル構造を確保することで、AI技術そのものの発展にも寄与できる」と述べた。

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