ビットコイン(BTC)がこの1週間で23%超上昇し、200日移動平均線を約9カ月ぶりに上抜けた。米債務問題への警戒に加え、ビットコインとイーサリアムの現物ETFへの資金流入、米国での規制整備を巡る動きが重なり、暗号資産市場全体の地合いを改善させた。
Cointelegraphが23日(現地時間)に報じたところによると、ビットコインは週中に一時7万9000ドルを上回り、足元では7万7000ドル台で推移した。200日移動平均線を上回るのは2025年11月以来という。
上昇はビットコインだけにとどまらない。イーサリアム(ETH)は同期間に31.1%上昇して2456ドル、XRPは53.3%高の1.52ドルとなった。ソラナ(SOL)も28%上昇した。
暗号資産の時価総額は2兆6300億ドル。関連株も総じて堅調で、Canaan、Metaplanet、Coinbase、Robinhoodはいずれも2桁の上昇率を記録した。
相場反発の背景としてまず意識されたのが、米国の債務拡大だ。今週、米国の国家債務は40兆ドルを超えた。市場では、インフレ懸念、財政赤字の拡大、米財務省の政策が重なり、金と暗号資産の上昇を後押ししたとの見方が出ている。
Kobeissi Letterは、米政府の大規模な赤字支出に加え、財務省が一部国債の買い入れ拡大に動く方針が、両資産の上昇を刺激したと分析した。
Bridgewater Associates創業者のレイ・ダリオ氏も、米債務問題が投資家のポートフォリオに直接影響し得ると警鐘を鳴らした。資産配分として金を約15%保有し、ビットコインを一部組み入れる考えに言及したほか、現在の米国の財政運営が変わらなければ、3年程度で債務危機が到来する可能性があるとの見方を示した。
資金フローも相場を支えた。ビットコインとイーサリアムの現物ETFには先週、合計26億1000万ドルが流入した。
マイケル・セイラー氏が率いるStrategyのビットコイン平均取得単価は7万5385ドルで、足元の価格はこれを再び上回った。予測市場Polymarketでは、2027年までにビットコインが9万ドルに達する確率が48%と見積もられている。
規制を巡る動きも投資家心理の改善につながった。ドナルド・トランプ米大統領は、CoinbaseのCEOブライアン・アームストロング氏や、Gemini共同創業者のキャメロン・ウィンクルボス氏、タイラー・ウィンクルボス氏らと面会した後、クラリティ法案の成立を改めて促した。
トランプ氏は、米国が中国に後れを取らないためには、議会が「公正なバージョン」の法案を処理すべきだと主張した。一方、ルーベン・ガジェゴ上院議員は、「公正な水準を大統領が直接決めることはできない」として反対姿勢を示した。
米証券取引委員会(SEC)も、新たな暗号資産規制案を提示した。60日間の意見募集に入ったこの案では、4年間で最大500万ドルを上限とする枠組みのほか、より厳格な開示・構造要件を満たす場合には、12カ月で最大7500万ドル規模のトークン発行を例外的に認める内容が盛り込まれた。
あわせて、暗号資産を投資契約と見なさないセーフハーバー案も示された。ヘスター・M・ピアース委員は、既存規制は暗号資産に十分対応していなかったとして、新たなガイドラインは「明確で合理的で、執行可能なルール」を整備する重要な段階だと評価した。
米商品先物取引委員会(CFTC)も、立法が遅れた場合は独自規制に踏み切る可能性を示した。マイケル・セリグ氏は、上院でクラリティ法案が可決されなければ、業界向けの新たな規則案の提示に速やかに着手する考えを明らかにした。
また、登録業者と未登録業者の双方が、レバレッジ取引や証拠金ベースの暗号資産取引を提供できる枠組みの検討に加え、開発者保護策も精査していると説明した。
先行きの見方は分かれている。Standard Charteredのデジタル資産リサーチ責任者、ジェフ・ケンドリック氏は、ビットコインが年内に過去最高値の12万6000ドルを試す可能性があるとみている。
足元の上昇はショートカバーに支えられた面が大きいものの、現物ETFへの資金流入も回復し、未決済建玉が低水準にあるため追加資金の流入余地があるという。ケンドリック氏は「年末に10万ドルとする予想は低すぎるリスクが出てきた」と述べた。
一方、BitgetのCEO、グレイシー・チェン氏は、年末までビットコインが現在の水準近辺で推移する可能性が高いとみる。金利動向とマクロ環境が引き続き主要な変数で、状況次第では年末時点で現在価格より1万〜2万ドル高い、あるいは低い水準になる可能性があるとした。
個別プロジェクトではリスクもくすぶる。Mantraの独自トークンは、ネットワークが原因不明の障害でブロック生成を停止する直前、過去最安値の0.004126ドルまで下落した。
Mantraチェーンは予防措置として一時停止され、プロジェクト側は当時、「根本原因とスケジュールはまだ共有できない」と説明していた。その後、22日にCosmos-EVMモジュールの脆弱性を修正し、ネットワークを再開した。利用者資金への被害は確認されていないとしている。