パキスタン政府が、暗号資産事業を制度化する法整備を本格化した。ライセンス制度の運用を始めるとともに監督体制を整え、海外の暗号資産関連企業の誘致を進める。
ブロックチェーン系メディアのBitcoin Magazineが21日(現地時間)に報じた。パキスタン政府は、長年続けてきた暗号資産の禁止方針から転換し、関連事業を法的枠組みの下に置く「仮想資産法(Virtual Assets Act)」に基づくライセンス申請の受け付けを開始した。
今回の制度改編の柱は、暗号資産と関連事業者を管理・監督する包括的な法制度を初めて整えた点にある。ビラル・ビン・サキブ首相ブロックチェーン・暗号資産特別補佐官はX(旧Twitter)で、海外企業に対しパキスタン市場への参入を呼びかけた。
サキブ氏は「パキスタンの扉は開かれている」と投稿し、現地でライセンスを取得し、銀行サービスにアクセスできる環境の下で、実効性あるルールに沿って事業を展開するよう促した。
パキスタンはこれまで、暗号資産を事実上禁止してきた。サキブ氏は、約10年にわたり同国の暗号資産政策が容認と禁止の間で揺れてきたとしたうえで、「歴史は、技術が政府の許可を待たないことを示している」と指摘した。
また、明確なルール、専門の監督機関、認可体制を整えることで、消費者保護の基盤も構築したと強調した。
法制化の手続きはすでに大きく進んでいる。仮想資産法は今年初めに上院を通過し、その後、アシフ・アリ・ザルダリ大統領の署名を経て成立した。
今回の動きは、パキスタンが近年進めてきた暗号資産に前向きな政策の延長線上にある。2025年開催の「Bitcoin 2025」では、国家戦略としてビットコイン準備金を創設する計画を公表した。
政府が保有する余剰電力2000メガワット(MW)を、ビットコイン採掘とAIデータセンター向けに割り当てる方針も示している。政府は当時、収益創出や雇用拡大、海外投資の誘致を政策目標に掲げた。
米暗号資産業界との接点も広がっている。ドナルド・トランプ米大統領一族が関与する暗号資産プロジェクト「WLFI(World Liberty Financial)」の関係者は、トランプ大統領の再政権発足後にイスラマバードを訪れ、パキスタン首相と会談した。
こうした動きは、米国とイランの間で仲介役を担ってきたパキスタンの外交展開とも重なり、両国の協力が暗号資産分野にも広がる可能性を示している。
パキスタンは、暗号資産政策を禁止から容認へ転換するだけでなく、ライセンス、金融アクセス、監督体制を一体で整える方向に制度を組み替えている。新たなライセンス制度を通じて海外企業の参入が進むかに加え、ビットコイン準備金の創設や採掘向け電力配分を含む政策がどの程度のスピードで具体化するかが焦点となる。