韓国政府が策定した「大韓民国AI倫理原則」。写真=Shutterstock

韓国政府は8月24日、AIの開発・提供・利用の全過程で社会の構成員が共有すべき指針として、「大韓民国AI倫理原則」を策定した。人間の尊厳、社会の公共善、人類の持続可能性を3つの中核価値に据え、人間中心性やプライバシー保護、透明性など7つの原則を示した。

科学技術情報通信部は同日、ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官の主宰で第12回科学技術関係閣僚会議の書面会議を開き、「大韓民国AI倫理原則」を含む3議案を議決したと発表した。このほか、自動運転AIの実証・商用化ロードマップ、ディープテック分野の創業活性化戦略も議題とした。

AI倫理原則は、AIを巡って利害や価値観がぶつかる場面で判断の基準となる中核的な価値と原則を示す自主規範に位置付けられる。「AI発展と信頼基盤造成などに関する基本法」に基づいて策定された。法的拘束力はないが、今後、社会の各分野で整備される倫理基準や指針の土台になるとしている。

政府は、AI技術の高度化と活用拡大に伴い、AIへの過度な依存、労働監視、雇用構造の変化、著作権や盗用、採用・評価過程での判断委任など、新たな社会的論点が浮上していると説明した。今回の原則は、2020年に策定した「AI倫理基準」を踏まえつつ、AI技術の進展やAI基本法の施行など制度環境の変化を反映したものだという。

3つの中核価値には、人間の尊厳、社会の公共善、人類の持続可能性を掲げた。人間を手段ではなく目的として尊重し、AIの便益が社会的信頼と共同利益につながること、さらに現世代と将来世代の双方がその恩恵を享受できることを基本的な方向性として盛り込んだ。

7原則は、人間中心性、プライバシー保護、公正性・包摂性、責任、安全性、信頼性、透明性で構成する。AIへの過度な依存を避け、個人情報に関する自己決定権を尊重するほか、偏りや不当な差別の防止、問題発生時の責任の所在の明確化、被害救済策の整備などを含めた。

今回の原則では、AIを開発・提供する企業や研究者だけでなく、AI利用者も責任ある活用の担い手と位置付けた点が特徴だ。大きな能力や資源を持つ国家や企業には、その影響力に見合う責任を求めるとともに、AIの恩恵が特定の集団に偏ってはならないとの考え方も盛り込んだ。

科学技術情報通信部と情報通信政策研究院(KISDI)は2025年12月から倫理原則の策定作業を進め、2026年5月に草案を公表した。その後、産業界、市民社会、学界、一般国民、関係省庁などから計153件の意見を集め、14日の討論会を経て最終案を取りまとめた。

今後は、事例中心の解説書、分野別の自律点検表、対象別のAI倫理教育教材を整備し、現場への適用を支援する。技術や社会の変化に応じて原則を継続的に点検・補完し、国際社会への共有と発信も進める方針だ。

今回の会議ではこのほか、国産自動運転AIの早期商用化に向けた「自動運転AI実証および商用化ロードマップ」も議決した。政府は、光州の実証都市で始めた実証の規模と対象地域を拡大し、大規模な走行データを確保することで、国産自動運転AIの性能と汎用性を高めるとしている。ディープテック分野では、「7大SEED」の技術成果の事業化を支援する創業活性化戦略も進める。

ペ・ギョンフン副首相は、「AI革新の加速と、安全で信頼できるAI環境の整備は相反する課題ではない」としたうえで、「大韓民国AI倫理原則がAIに対する社会的信頼を高め、その恩恵の広がりを後押しする基準として定着するよう支援していく」と述べた。

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