画像=Ripple公式サイト

Rippleの機関金融事業子会社Ripple Primeは8月18日、2億7500万ドル(約413億円)のシニア無担保社債を私募で発行した。米事業の拡大に向けた資金を確保した格好だが、社債の信用力を巡っては親会社Rippleの支援余力とXRP保有の実態が重要な論点となっている。

米ブロックチェーンメディアCryptoSlateによると、今回の起債の主幹事はPiper Sandlerが務めた。

Rippleは調達資金について、規制対象法人の運転資金と一般的な事業目的に充てる方針を示している。一方、開示資料からは、親会社保証の有無やXRPが担保に設定されたかどうかは確認できない。

今回の社債発行で注目されるのは、Ripple PrimeとRipple Labsが法的に分離された構造にある点だ。発行体は中間持株会社のRipple Prime CIV US BD Holdco LLCで、傘下に米運営会社Hidden Road Partners CIV US LLCを置き、その上位に親会社Ripple Labsが位置する。

顧客対応に関する規制上の義務は、運営会社であるブローカー法人が担う。一方、社債による債務は持株会社に帰属する構図となっている。

格付け会社KBRAは7月、Ripple Prime CIV US BD Holdcoのシニア無担保社債にBBB格付けと「安定的」の見通しを付与した。運営会社から持株会社への配当や資金移動が難しくなる局面では、Rippleが財務支援に動く可能性が高いと判断した。

KBRAは、Rippleによる財務支援を信用評価の柱と位置付けている。このため今回の資金調達は、Ripple Primeの機関金融事業が親会社の財務基盤からどの程度切り離されているかを測る材料にもなる。

XRPが社債の直接担保として差し入れられたかどうかは不明だ。公表資料にも、XRPの担保設定やRipple Labsによる法的拘束力のある支払い保証は明記されていない。

もっとも、RippleのXRP保有は親会社の支援能力を見極めるうえで重要な要素とみられている。KBRAによると、RippleはHidden Roadの買収後、約5億ドル(約750億円)を投じ、Ripple Prime USのバランスシート拡大と2025年の黒字化を支援した。

さらにKBRAは、2025年第3四半期時点でRippleが約50億ドル(約7500億円)の現金と、400億枚超のXRPを保有していると評価した。その一方で、収益がXRP販売を含むデジタル資産関連事業に大きく依存している点も指摘している。

Rippleの最新開示によると、6月30日時点のXRP保有量は376億5605万3914枚。このうち約326億枚はオンチェーンのエスクロー下にあり、エスクロー外で保有するXRPは約50億5605万枚としている。

Rippleは未使用のXRPを再びエスクローに戻す運用を続けている。このため、足元の市場価格を単純に当てはめ、保有XRP全体をそのまま債務返済原資として評価するのは難しい。

実際に活用できる範囲を見極めるには、売却制限や既存契約、市場流動性、大量売却が価格に与える影響などをあわせて考慮する必要がある。

Ripple Primeの事業そのものも、なお拡大途上にある。KBRAはRipple Prime USについて、2025年に黒字を確保したと評価する一方、事業は初期の成長局面にあり、収益がスプレッド型金融に集中していると分析した。

同社は2024年に取引所取引デリバティブのプラットフォームを立ち上げ、2025年には債券レポ事業を一定規模まで拡大した。今後はデルタワン商品や株式プライムブローカレッジ事業を追加し、収益源の多様化を進める計画だという。

ただ、KBRAはこうした新規事業の成果はまだ実証段階にないとみており、成否は執行力に左右されると評価した。バランスシートの規模や金利水準によって収益性が大きく変動し得る点も、リスク要因として挙げている。

今回の2億7500万ドルの社債発行は、Ripple Primeが投資適格格付けを背景に、伝統的な信用市場で大型資金を調達できることを示した事例といえる。

一方で、信用力の評価では今後も、Rippleの支援意欲とXRPに左右される親会社の財務状態が重要な変数として残る。KBRAは、安定した収益性の確保と事業規模の拡大が続けば格上げ余地がある一方、収益性や流動性の悪化、親会社の支援能力低下が生じれば格付けの下押し要因になるとの見方を示した。

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