写真=Geely。今回の認可は、これまで国有系中心だった中国の衛星通信市場で、民間企業にも商用試験の機会が広がったことを示す。

中国当局は、Geely系の宇宙企業GeeSpaceに対し、民間企業として初めて衛星IoTの商用試験を認可した。試験期間は2年間で、スマート交通や海洋漁業、エネルギー、水資源インフラ分野での活用を想定する。

8月21日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、中国工業情報化部はGeeSpaceに2年間の試験運用を認めた。中国の民間企業が衛星IoTの商用試験認可を得るのは初めてという。

認可により、GeeSpaceはスマート交通、海洋漁業、エネルギー、水資源インフラの各分野で、低消費電力の広域接続サービスを提供できるようになる。

今回の措置は、急拡大する中国の衛星通信市場を民間資本に広く開放する流れを映すものでもある。工業情報化部は認可に関する告知で、衛星IoTをブロードバンド衛星サービスの「重要な補完手段」と位置付け、今回の試験が民間部門の追加参入を促す契機になるとの見方を示した。

衛星IoTは、センサーや車両、各種機器を衛星ネットワークで結び、低速データ通信を提供する仕組みだ。高速インターネット接続を主眼とするSpaceXのStarlinkや、中国の国有系プロジェクトQianfanとは異なり、既存の通信網が届きにくい地域で多数の機器を安定的に接続する用途に重点を置く。想定される利用地域には、海上、砂漠、遠隔地のインフラ拠点などが含まれる。

中国は5月にも、衛星IoTとして初の試験認可を出している。ただ、当時の対象は中国最大の無線通信事業者China Mobileの支援を受けるBeijing Guodian High-Tech Technologyだった。今回は民間企業が初めて同分野の商用試験認可を取得したことで、商業宇宙分野の開放が一段と進んだ点が焦点となる。

GeeSpaceは2018年設立の中国商業宇宙企業で、自前の軌道ネットワーク構築を進めている。公式サイトによれば、2022〜2025年に6回の打ち上げで衛星64基を投入し、ネットワークの第1段階構築を完了した。最高経営責任者(CEO)のワン・ヤン氏は、2024年の浙江日報とのインタビューで、長期的には5600基超の衛星コンステレーション配備を目指すと述べている。

海外展開も進めている。公式サイトによると、中東、アフリカ、東南アジア、中央アジア、南アジア、中南米など20カ国以上で通信事業者との試験を実施した。今回の中国国内での認可は、国内事業基盤の拡大を後押しするとともに、海外で進めてきた衛星IoT事業を支える節目にもなりそうだ。

中国政府は、衛星IoTをブロードバンド衛星サービスとは別の成長領域として育成している。低消費電力、広域カバー、遠隔地接続への需要が明確な産業分野を中心に、用途拡大を進める構えだ。そうした中、今回の認可は単なる技術実証にとどまらず、中国の商業宇宙市場で民間企業の役割が広がる転機となる可能性がある。

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