ビットコイン(写真=Shutterstock)

CoinSharesは、足元のビットコイン反発について、暗号資産市場の個別材料よりも、米金融政策の転換期待と大規模なショート清算の影響が大きいとの見方を示した。暗号資産ETPには週間で22億ドル(約3300億円)が流入し、需給面にも改善の兆しが出ている。一方で、短期的には8万ドル近辺が上値抵抗になるとみている。

22日付のCoinPostによると、資産運用会社CoinSharesは今回の上昇について、マクロ環境の変化を映した値動きだと分析した。

同社は、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨について、政策金利の据え置き決定以上にタカ派色の強い内容だったと指摘。その後、インフレ鈍化と雇用の伸びの減速によって追加利上げの根拠が弱まり、米金融政策の転換期待が高まったことで、流動性や実質金利に敏感なビットコインが反応したと説明した。加えて、過去最大規模のショート清算が上昇幅を広げたとしている。

背景には米国債市場の動きもある。追加利上げ観測の後退を受けて短期金利は低下した一方、財政悪化への懸念から長期金利は上昇した。CoinSharesは、金融緩和への期待と財政不安が同時に強まる局面は、歴史的にビットコインの追い風になりやすかったとみている。

一方で、米財務省による国債買い入れ拡大は、短期的な市場安定策にとどまり、構造的な解決にはならないとの見方も示した。長期金利の上昇圧力を一時的に和らげる可能性はあるが、財源確保のために短期国債の発行が増えれば、政府債務の平均満期は短くなり得る。その結果、政府の利払い負担は短期金利の変動に一段と左右されやすくなるという。

また、長期金利の上昇がこれまで実質的に金融引き締めの一部を担ってきた点も論点に挙げた。財務当局が長期金利を抑え込めば金融環境は再び緩み、米連邦準備制度理事会(Fed)が高金利を長期化させる、あるいは追加利上げに動く可能性があると説明した。長期金利負担の低下と引き換えに、ドル安や短期金利への感応度上昇といった別のリスクを抱えかねないとも指摘している。

需給面では改善の兆候がみられる。大口保有者は売りを止めて再び買い増しに動き、ビットコインは200日移動平均線を明確に上回った。ただ、CoinSharesは当面、8万ドル前後を上限とするボックス圏での推移を想定している。

機関投資家マネーにも回復の兆しが出てきた。暗号資産の上場投資商品(ETP)にはこの1週間で22億ドル(約3300億円)が流入し、年初来で最大の週間流入額となった。このうちビットコイン関連商品には約16億ドル(約2400億円)が流入し、年初来でも資金フローは再び純流入基調に戻りつつあるとした。

規制面の変化は、ビットコインよりもEthereumやSolanaなどアルトコイン市場に直接的な材料になるとみている。CoinSharesは、クラリティ法案を巡る進展に加え、政府と業界の対話が継続することで規制枠組みがより明確になれば、暗号資産業界全体の見通し改善につながる可能性があるとした。

長期見通しでは、資産配分の観点にも言及した。Grayscaleは、ビットコインには分散ポートフォリオの一部として検討する余地がある一方、株式や債券と異なりキャッシュフローを生まないことが投資判断を難しくしていると指摘した。ただ、構造的な普及トレンド、直近の弱気相場入り後の経過期間、実質金利を軸としたマクロ環境を踏まえると、長期投資家にとっては有利な参入局面になり得るとしている。

今回の反発が持続するかどうかは、ジャクソンホール会議で示される金融政策シグナルと米国債市場の動向がカギを握る。短期的には8万ドル近辺で上値の重さが意識されそうだが、大口保有者の買い増し再開と機関マネーの流入を背景に、中長期の需給環境は徐々に改善しつつある。

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