ビットコインのジェネシスブロックに含まれる公開情報を基に、秘密鍵を推定できるよう設計したとみられる「パズルウォレット」が、ビットコインのブロックチェーン上で確認された。関連取引ではOP_RETURNに255バイトの文言が記録され、送金額に応じてヒントを提供する仕組みも示された。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、Galaxy Researchのアナリストは23日(現地時間)、ビットコインのブロック963,629でこのパズルウォレットに関連するオンチェーン活動を観測した。
当該取引では、OP_RETURNに255バイトのテキストが記録された。取引全体のサイズは約500バイトで、この文言が半分以上を占めた。マイニング手数料は250サトシだった。
このパズルの特徴は、一般的なランダム生成のシードフレーズではなく、ビットコインのジェネシスブロックに含まれる公開情報をウォレット生成に使った点にある。
作成者は取引に残した声明で、サトシ・ナカモトが作成したジェネシスブロックの情報を使ってビットコインのパズルとウォレットを作成したと説明し、「エントロピーが極めて低い」と記した。
暗号分野でいうエントロピーは、秘密値の推測しにくさに関わる概念だ。エントロピーが低いということは、秘密鍵候補の組み合わせを意図的に絞り込んだことを意味する。
つまり今回のパズルは、完全にランダムな値を使うのではなく、2009年のジェネシスブロックで既に公開されているデータを鍵の手掛かりとして使う構造になっている。作成者は「バックアップを作る必要すらなかった」「必要なものはすべて最初のブロックにあった」とも付け加えた。
現時点で、具体的にどの情報が解読の手掛かりになるのかは明らかになっていない。候補としては、ジェネシスブロックのハッシュ値や、ブロックに含まれる有名な文言「The Times 03/Jan/2009」などが挙がっている。
この仕組みは、人が記憶できる情報や推測可能な情報を基に秘密値を作る、いわゆる「ブレインウォレット」に近い。公開情報が多いほど候補が絞られ、総当たりの対象範囲も限定されやすくなるため、一般的なランダムな秘密鍵方式より安全性が低い可能性がある。
今回のパズルは、ウォレットを公開するだけにとどまらない。作成者は、指定したウォレットアドレスにビットコインを送るとヒントを受け取れる仕組みも用意した。送金額が大きいほど、より正確で価値の高い手掛かりを提供するとしている。
ビットコインコミュニティでは、関連するパズルを解こうとする動きも出ている。参加者らは、サトシ・ナカモトが残した初期の記録やジェネシスブロックのデータを改めて精査し、パズルウォレットにつながる値を探っている。
今回の事例は、ビットコイン初期のブロックチェーンデータが単なる歴史的記録にとどまらず、新たなオンチェーン実験の材料になり得ることを示した点で注目される。特に、OP_RETURNに人が読める声明を残し、それをパズルと資金の流れに結び付けた点が目を引く。
今後は、コミュニティが実際の手掛かりを見つけ出し、秘密鍵の特定に至るかどうかが最大の焦点となりそうだ。