欧州の暗号資産取引所ZondaCryptoで、サイト停止や自社トークン「ZND」の急落、出金遅延が相次いで表面化している。創業者に続いて後任の最高経営責任者(CEO)も行方不明となり、準備金の管理体制を巡る不信が一段と強まっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、ZondaCryptoのサイトは4月に完全停止した。ZNDの価格は99.9%下落し、顧客の出金遅延も発生している。運営実態や資金管理に対する疑念も広がっているという。
ZondaCryptoの前身は、2014年にシルベステル・スシェクが設立したBitBayだ。ポーランド・カトビツェ出身のスシェクは、暗号資産業界で「クリプト・キング」とも呼ばれ、ポルシェやフェラーリを所有するなど派手な私生活でも知られていた。
その後、現地の規制監視が強まるなか、取引所の登録地はエストニアへ移された。以降、スシェクの周辺では精神的に不安定な状態にあったとの証言が出ており、妹のニコル・スシェクは、次第に被害妄想的になっていったと語ったという。
スシェクを巡っては事件も起きている。何者かがフェラーリのフロントガラスを斧で破壊したとされ、組織犯罪との関係が疑われた元ビジネスパートナーの関与説も取り沙汰された。
スシェクは2022年3月、ポーランドのチェラジにある燃料貯蔵施設でマリアン・ブショレクと面会した後、消息を絶った。その後、家族に対し、自らが誘拐され、解放にはビットコインが必要だとする音声メッセージとテキストメッセージを送ったとされる。債務問題を理由に指を切り落とすと脅された、との内容も含まれていたという。
スシェクは現在も行方が分かっていない。面会相手だったブショレクは誘拐と資金洗浄の罪で起訴されたが、この人物も現在は所在不明とされる。
創業者失踪後は、側近で弁護士でもあったプシェミスワフ・クラルが経営を引き継いだ。取引所はZondaCryptoへ改称し、欧州の主要サッカークラブやポーランド五輪委員会とスポンサー契約を結ぶなど、対外的な事業拡大を進めた。
ただ、表向きの拡大とは裏腹に、内部の運営基盤は脆弱だったとみられる。エストニアの本社は小規模なオフィスにとどまり、最終的には現地規制当局の措置を受けた。
2025年末以降は、顧客の出金遅延が深刻化した。クラルは当初、技術的な問題だと説明していたが、その後の準備金に関する発言が新たな疑念を招いた。
クラルは、ZondaCryptoが約4500BTCを安全に保有していると主張した。一方で、その資産にアクセスできる唯一の人物は、すでに失踪している創業者スシェクだとも説明した。創業者不在のまま、巨額のビットコイン準備金へのアクセス権限が固定されているとの説明が出た直後、クラル自身も姿を消した。
現在、ZondaCryptoの顧客は資金の引き出しに苦慮している。サイト停止、ZNDの暴落、出金遅延に加え、創業者と後任CEOの失踪が重なり、取引所の運営全般に対する不信はさらに強まっている。
U.Todayは、取引所運営そのものが長期にわたる詐欺だった可能性もあると伝えている。焦点は、顧客資金を回収できるのか、失踪した経営陣の所在が判明するのか、そしてエストニア当局が今後どのような対応を取るのかに移っている。