サム・アルトマン氏。AIの主導権が一部に集中することへの懸念を示した。写真=OpenAI

OpenAIのサム・アルトマンCEOは23日、AIの主導権が少数の企業や個人に集中する可能性があるとして懸念を示した。安全性を重視した強い規制が、結果としてAIの主導権を一部に集めかねないとの認識も示した。

Business Insiderによると、アルトマン氏はデイビッド・センラ氏のポッドキャスト番組に出演し、AIの将来はより多くの人が関与できる形であるべきだと語った。

アルトマン氏は、AIが世界を変えていく過程で、大多数の利用者が意思決定から排除される事態を警戒していると説明した。「望ましいのは、人々が未来に深く関与できることだ」「社会とモデルはともに進化する」と述べ、AIの進路を一部企業の判断だけで決めるのではなく、社会の選択を反映させるべきだとの考えを示した。

一方で、AIが人間の制御を離れるリスクにも言及した。ただ、そうした危険性を過度に強調することは、別の問題を招きかねないとも指摘した。アルトマン氏は、多くの人がリスクを必要以上に深刻に受け止めれば、「世界を守るために自由を大きく制限すべきだ」という発想に傾く可能性があると述べた。

こうした発言の背景には、AI規制とモデル公開の範囲を巡る米業界内の対立がある。Anthropicのダリオ・アモデイCEOは、ポッドキャストやエッセイ、同社ブログを通じて、AIの急速な進化がもたらす危険性を繰り返し訴えてきた。6月のエッセイでは、自社の「Mythos」モデルがサイバーセキュリティ、金融、重要インフラ、国家安全保障の分野で極めて現実的なリスクをもたらし得るとの見方を示した。

アモデイ氏は、こうしたリスクを踏まえ、政府の関与拡大を主張してきた。これに対しアルトマン氏の発言は、強い安全規制がかえってAIの主導権集中につながるとの問題意識をにじませたものといえる。実際、Anthropicは先月、主要AI企業の中で唯一、オープンウェイトモデルを支持する賛同書簡に署名しなかった。オープンウェイトモデルは、開発者がモデルを共有し、ダウンロードや改変を行ったうえで、自社インフラ上で配布できる形態を指す。

オープンウェイトを巡る競争も鮮明になっている。中国はこの方式を積極的に取り入れ、比較的低コストでシリコンバレー勢を追い上げている。米国ではNVIDIA、Meta、Microsoftが、同様の流れを受け入れなければAI競争で中国に後れを取ると主張してきた。OpenAIは最上位モデルのソースコードは公開していないが、昨年には「gpt-oss-120b」と「gpt-oss-20b」のオープンウェイトモデル2種を公開した。

アルトマン氏はまた、米AI業界はこれまで技術の有用性を一般に十分伝え切れていなかったとも指摘した。「これまでに見たことのない規模で、小規模な事業を始める人が増える時期が来る」「AIがそれを可能にしている」と述べた。AIを単なる規制対象としてではなく、個人の自律性や経済活動の裾野を広げる手段として示すべきだという認識がうかがえる。

今回の発言は、AI競争の焦点が性能や安全性だけでなく、AIを誰がどこまで握るのかという構図にも移りつつあることを示している。米主要AI企業が規制、公開範囲、国家競争力を巡って異なる立場を示す中、AIの権限を誰にどの程度配分するのかが、今後の論争の核心となりそうだ。

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