経済学者のピーター・シフ氏は23日、AIの普及がビットコインの追い風になるとの見方を否定し、むしろ投機資金やインフラ資源を巡る競合や、将来的なセキュリティ上の不確実性を通じて脅威になり得ると主張した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、同氏は、ビットコイン支持者がAI投資ブームにビットコインを重ねて語ろうとしているものの、実際にはAIがビットコインに不利に働く可能性があると指摘した。
同氏が挙げた論点の一つは、投資マネーの流れだ。AIが金融市場の中心テーマとして浮上するなか、投機資金がビットコインではなくAI関連資産に向かう可能性があるという。
電力やデータセンターを巡る競争も懸念材料に挙げた。ビットコインネットワークとAI産業はいずれも大量の電力と計算資源を必要とするため、資源配分を巡る競合が生じ得るとの見方を示した。
セキュリティ面にも言及した。AIの性能向上によって、人間が見つけられていないビットコインのソフトウェアや暗号構造上の脆弱性が発見される可能性があるとした。
同氏は、ビットコインの安全性や供給上限は、関連ソフトウェアと暗号システムが想定通り機能し続けることを前提としていると説明した。現時点でAIが実際に脆弱性を見つけた証拠はないとしながらも、将来的にはその前提が揺らぐ恐れがあるというのが同氏の見立てだ。
同日、同氏は従来のビットコイン批判も改めて展開した。ビットコインの過去の上昇率に触れた投稿に対し、「AIは詐欺ではないが、ビットコインは詐欺だ」と返信。ビットコインではなく貴金属を購入していれば、より良い結果になっていたとの持論を繰り返した。
さらに、過去およそ5年間についても、ビットコインを保有しない方が望ましかったとの趣旨の見解を示し、長期保有を続けた投資家の判断に否定的な姿勢を示した。
足元のビットコイン価格の反発についても、同氏は懐疑的だ。今回の値動きを「ブレイクではなく、まやかし」と評し、ビットコインを売って金を買うよう促した。
今回の発言は、AIとビットコインを結び付ける投資ストーリーを否定すると同時に、ビットコインの価格動向や役割に対する従来からの懐疑論を改めて打ち出したものと受け止められている。
もっとも、同氏の主張は、現時点で確認された技術的欠陥や実際のセキュリティ事故に基づくものではない。AIがビットコイン需要を押し上げる補完要因となるのか、それとも投資資金やインフラを巡って競合する存在になるのかが、今後の論点となりそうだ。
同氏は「ビットコインの推進派は、投資家にAI取引の一部だと見せるため、ビットコインをAIの波に乗せようとしている。しかし実際は逆だ。AIはビットコインにとって強気材料ではなく、脅威だ。AIは投機資金、電力、データセンターを巡ってビットコインと競合する」と述べた。