AIを日常的に利用する会社員の74%が、これまで同僚にしていた質問をAIに向けていることが分かった。写真=Shutterstock

AIの普及に伴い、職場での「最初の相談相手」が同僚からチャットボットへ移りつつある。MyIQが成人約2万2500人を対象に実施した調査では、AIを定期的に利用する会社員の74%が、以前は同僚にしていた質問をいまはAIに向けていると答えた。業務効率の向上が進む一方、職場内の会話や新入社員の関係構築の機会が減っている実態も浮かび上がった。

米ITメディアのTechRadarが今月22日(現地時間)に報じたところによると、調査を実施したのはオンライン認知能力評価プラットフォームのMyIQだ。

調査では、職場での即興的な会話の減少も確認された。回答者の48%が、勤務時間中の即興的な会話が減ったと回答。AIの活用拡大が、業務の進め方だけでなく、職場の日常的なコミュニケーションにも影響を及ぼしていることをうかがわせる。

新入社員を巡る影響も見逃せない。回答者の38%は、日常的な質問の相手が人からAIに置き換わったことで、新入社員が自然に人間関係を築く機会が減ったと答えた。MyIQのサラ・メイヤー専務は、こうしたやり取りが継続的に減れば、チーム内で信頼を育む機会も細ると説明している。

働き方の変化も表れた。回答者の53%は、AI導入後に自分の仕事がより事務的になったと回答した。

一方で、効率化の効果を実感する声は多い。62%は1年前に比べて自分で意思決定しやすくなったとし、71%は職場でより自律的に働くようになったと答えた。AIがブレインストーミングの補助や論点整理、判断支援に一定の役割を果たしていることを示す結果といえる。

ただ、MyIQは、チャットボットが迅速で便利であっても、同僚が持つ職場の文脈や社内に蓄積された知見まで伝えられるわけではないと指摘する。AIによって個人が問題を自己完結しやすくなるほど、企業は効率性だけでは測れない職場内の学習や人とのつながりに、これまで以上に目を向ける必要があるとしている。

こうした変化は、対面勤務の意義にも問いを投げかける。パンデミック後、多くの企業は協働や偶発的な会話の価値を理由に出社回帰を進めてきた。しかし、回答者の約半数がそうした会話は以前ほど頻繁に起きていないと答えたことで、AIが浸透した職場でオフィスに集まる意味が改めて問われている。

同様の傾向は別の調査でも確認された。SurveyMonkeyの調査では、回答者の77%がチームメンバーとのブレインストーミングの機会拡大を望み、61%はチームの結束強化を求めた。より速い答えを得るためAIの最初の回答に頼る傾向が強まる一方で、人と人との協働の価値は依然として重視されていることが分かる。

企業にとっては、効率化とチーム連携の維持をどう両立させるかが新たな課題になりそうだ。AIが定型的な質問や日常業務を吸収するほど生産性向上は期待できるが、チーム内の信頼形成や新入社員のオンボーディング、組織学習といった機能は別途設計が必要になる可能性がある。とりわけハイブリッド勤務を続ける組織では、AI活用の拡大と人を中心とした協働の仕組みをどう両立させるかが重要なテーマになっている。

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