韓国政府は、2026~2030年の5年間で研究開発(R&D)に200兆ウォン超を投じる。AI、半導体、フィジカルAIの3大メガプロジェクトに投資を集中するほか、先端バイオ、量子、宇宙航空など「7大SEED」分野も重点支援する方針だ。
科学技術情報通信部は9月1日、8月31日に国家科学技術諮問会議の第9回審議会で議決された「第2次 国家研究開発中長期投資戦略(2026~2030年)」を確定したと発表した。政府が5年間のR&D投資として200兆ウォン超を打ち出すのは初めてとしている。
同戦略は、今後5年間の国家R&D投資の方向性を示す最上位計画と位置付けられる。国家レベルのミッションや成果目標、年次マイルストーン、投資ポートフォリオを示し、毎年の国家研究開発投資方針や予算配分・調整に反映する。
戦略は、N(Nexus)3大メガプロジェクトへの集中投資、E(Enforce)7大SEED+αの競争力強化、X(eXpand)エコシステムの強化・拡大、T(Trust)信頼基盤の効率化――の4本柱、8大課題で構成した。
まずAI分野では、AIモデル、フィジカルAI、AIデータセンター(AIDC)を軸に国際競争力の引き上げを狙う。汎用AIや超高効率技術、物理法則ベースのワールドモデル、フィジカルAIのフルスタック、AIDCの川上・川下産業にまたがる中核技術の開発を支援する。
政府は、AIの国際競争力を現在の5位から3位へ高めるとともに、フィジカルAI分野で世界トップの地位を確立し、AIDCを輸出産業として育成する目標を掲げた。あわせて、6Gの世界初の商用化や、韓国型の耐量子計算機暗号など、次世代のセキュリティー・ネットワーク技術の育成も進める。
半導体・ディスプレー、先端ロボット・モビリティー、次世代電池といった主力産業では、競争優位の確保を目指す。次世代HBM、PIM、ニューロモルフィック半導体、化合物半導体などを開発し、AI半導体からソフトウェア、サービスまでを国産技術で構成する「K-AI半導体フルパッケージ」エコシステムの構築を進める。
半導体の素材・部品・装置の国産化率は30%から50%へ、ロボット中核部品の国産化率は41%から80%へ引き上げる目標も示した。次世代電池では、世界市場シェア25%の確保と、技術水準で世界首位の奪還を目指す。
未来の成長分野としては、先端バイオ、量子、宇宙航空など「7大SEED」を集中的に育成する。AIとバイオを組み合わせた研究拠点や国家バイオファウンドリーを整備し、ブロックバスター新薬3件の開発を推進するほか、国産フルスタック量子コンピュータ2種と100km級量子ネットワークの実証にも取り組む。
宇宙分野では、2030年に国内初となる民間主導の月面着陸を目標に、中核技術の開発を支援する。未来クリーンエネルギー分野では、小型モジュール炉(SMR)、核融合、再生可能エネルギー技術を重点育成する。
国防分野では、データに基づく戦略・戦術の選択や、多様な無人兵器体系の統合運用を可能にする韓国型「国防AI OS」の構築を進める。国防データへのアクセス性を高めるとともに、研究・調達手続きの短縮を図り、「K-パランティア」の成長環境も整備する。
基礎研究、政府出資研究機関、科学技術人材への投資も拡大する。政府出資研究機関については、研究課題中心制度(PBS)を廃止し、2030年までに人件費の全額を出資金で支援する方針だ。世界100大研究機関は現在の2機関から5機関へ、世界最高水準の研究者は54人から100人超へ増やす目標を掲げた。
海外の優秀人材2000人を呼び込む「Brain to Korea」プロジェクトも推進する。地域自律型R&Dの比率は4.2%から15%へ引き上げ、投資型R&Dなどを通じて「K-ユニコーン」50社の育成を目指す。
このほか、災害安全や国民生活に密着したR&Dへの投資も拡大する。AIで災害の兆候を事前に予測し、介護、医療、文化、食品、住居など生活分野の技術開発を支援する。R&D予算の編成、管理、評価プロセスにもAIを導入し、成果重視の投資体制を強化する。投資型R&Dやブロックファンディングなど、支援手法の多様化も進める。
政府は同戦略を、毎年の投資方針や予算配分・調整、R&D予算の支出上限に反映する計画だ。内外環境の変化に応じて投資ポートフォリオを見直すローリングプラン方式で運用する。
パク・イング科学技術革新本部長は「メガプロジェクトと7大SEEDへの集中投資に加え、基礎研究や若手研究者、地域への安定的な投資も盛り込んだ」とした上で、「4年後には、変化した大韓民国を研究現場と国民の日常で実感できるようにしたい」と述べた。