IBMは22日、通期の売上高成長率見通しを固定為替ベースで4〜5%に下方修正した。4月時点では「5%以上」としていたが、インフラ事業の低迷を受けて引き下げた。
米CNBCによると、同社は第2四半期決算の発表にあわせて新たな見通しを示した。先週には異例となる暫定実績の先行開示を行っており、通期ガイダンスの維持が難しい状況をあらかじめ示していた。
アービンド・クリシュナCEOは投資家向け書簡で、Zメインフレームと取引処理ソフトウェアの販売が計画を下回ったと説明した。値上げ前の駆け込み需要があったにもかかわらず、実績は想定に届かなかったという。
この影響でIBM株は先週、1日で25%急落し、過去最大の下落率を記録した。22日終値時点の年初来下落率は30%に達しており、同期間のS&P500指数の約10%上昇と対照的な動きとなっている。
第2四半期決算は利益面で市場予想に届かなかった。売上高は前年同期比1%増だった。
純利益は21億7000万ドル(約3255億円、1株当たり利益2.30ドル)で、前年同期の21億9000万ドル(約3285億円、同2.36ドル)から減少した。22日に公表した売上高と調整後1株当たり利益は、1週間前に示した暫定値と同じだった。
事業別では、ソフトウェアが全体を下支えした。高採算のソフトウェア部門の売上高は77億6000万ドル(約1兆1640億円)と5%増加した。
コンサルティング部門の売上高は53億3000万ドル(約7995億円)で横ばいだった。一方、インフラ部門の売上高は38億4000万ドル(約5760億円)と7%減少し、このうちZメインフレームの売上高は42%減と大きく落ち込んだ。通期見通しの引き下げは、主力インフラ事業の不振を反映した格好だ。
フリーキャッシュフローの見通しは据え置いた。IBMは、今年のフリーキャッシュフローが10億ドル(約1500億円)増加するとの従来予想を改めて確認した。
同社は声明で、人工知能(AI)を活用したソフトウェア開発の拡大を通じて生産性を高めるとともに、営業・マーケティング組織の効率化やサプライチェーンの最適化を進めていると説明した。こうした取り組みが、利益率とフリーキャッシュフローの改善につながるとしている。
このほか、四半期中に米国で量子チップのファウンドリー建設に向けた意向書を締結したと発表した。複数の生成AIモデルを組み合わせて使うAIコーディングツール「Bob」も公開し、すでに8万人超の従業員が利用しているという。
もっとも、市場が注目したのは新規事業よりも、既存の中核インフラ事業の鈍化と通期成長見通しの引き下げだった。先週の暫定実績の開示後にはアナリストによる業績予想の引き下げも相次いでいた。
22日の時間外取引では株価が4%上昇した。先週の業績ショックが相応に株価へ織り込まれていたことに加え、今回の正式発表が暫定開示から大きく下振れしなかったことが、ひとまず安心感につながったとみられる。
IBM経営陣は同日午後5時(米東部時間)からアナリスト向けのコンファレンスコールを開き、業績について説明する予定だ。
今後の焦点は、インフラ部門の立て直しと、ソフトウェアの成長で全社業績をどこまで補えるかに移る。とりわけ、Zメインフレーム売上高の急減が一時的な調整にとどまるのかが、下半期業績を見極める上で重要なポイントとなる。