Teslaは、自動運転タクシー「Cybercab」にGPSアンテナ、5G、Starlinkを統合した通信設計を公開した。セルラー通信と衛星通信を組み合わせることで、車両運用の継続性や遠隔支援の安定性を高める狙いがあるとみられる。一方、Cybercabの商用化時期は明らかにしていない。
Engadgetによると、Teslaは21日(現地時間)、X(旧Twitter)への投稿で、GPSアンテナと5G、Starlinkを搭載したCybercabの断面図を公開した。
Teslaは別の投稿で、Cybercabの通信構成について「自動運転車の未来に向けた宇宙ベースの高速インターネット」と説明した。搭載機器は、先週発表されたStarlink V5とみられる。
Starlink V5は、従来モデルより小型化し、電力効率も向上した。一方、通信速度はV4の400Mbps超から、V5では375Mbps超へやや低下したという。
今回の設計で注目されるのは、Teslaが5Gアンテナもあわせて組み込んだ点だ。現時点で確認されている少数のCybercab車両は都市部で運行しており、米主要都市では5Gネットワークが利用できる。このため、衛星インターネットまで車載する必要があるのかという見方も出ている。
米都市部の平均的な5G通信速度は約175Mbpsで、Starlink V5のほぼ半分に当たる。
もっとも、この設計は乗客向けのインターネット接続というより、車両運用全体を視野に入れたものとみられる。衛星通信は携帯電話網の電波状況に左右されにくく、車両間通信、ナビゲーション、遠隔支援などへの活用が想定されるためだ。
StarlinkはV5を主に家庭向けインターネット機器として位置付けており、移動中の利用を前提とする「Starlink Mini」とは用途が異なる。それでもTeslaは、これを車載一体型として採用した。
今回の公開は、イーロン・マスク氏が率いる2社の連携を改めて示す動きでもある。Teslaは車両プラットフォームにSpaceXの通信機器を直接統合し、自動運転サービス向けの運用インフラを自前で広げる構えを示した。
通信網をセルラー通信と衛星通信で冗長化できれば、サービス継続性と遠隔運用の安定性を高めやすくなる。
ただ、Cybercabの商用化時期は依然として示されていない。
ロボタクシー追跡サイトの集計では、Teslaの無監督運行の車両は39台にとどまる。監督車両を含む全体の運用台数は770台だ。
このため今回の発表は、直ちにサービス拡大を示すものというより、Teslaが自動運転タクシーの通信インフラをどう設計しているかを示す材料といえそうだ。
今後の焦点は、Starlink内蔵が都市型ロボタクシーの運用でどこまで有効性を発揮するか、そしてTeslaが現在の小規模な試験段階を超えて、車両群をどの程度の速度で拡大できるかにある。