Huaweiが中国本土でDRAM生産設備の構築・運営に関与しているとの観測が再び浮上した。事実であれば、CPUやSSD、DRAMにまたがる半導体供給網の内製化が一段と進むことになる。
米ITメディアのTechRadarによると、Huaweiは中国・深圳のメモリー企業Qubulasとの合弁スキームを通じ、DRAM工場を実質的に支配している可能性がある。Huaweiが深圳地域の少なくとも11カ所の半導体工場に影響力を及ぼしているとの指摘もあるが、同社はこれを公式に否定している。
こうした見方が浮上するのは今回が初めてではない。HuaweiとQubulasの関係を巡っては昨年も同様の観測が取り沙汰された。公開された衛星写真や生産設備に関する状況証拠を基に、Huaweiの先端半導体生産ラインがQubulasと結び付いているとの分析が示され、同施設に中国政府の資金が投じられたとの主張も出ていた。
背景には、中国政府の積極的な支援があるとの見方が強い。米国の輸出規制で最先端半導体の調達が難しくなって以降、中国はHuaweiを中核的な半導体企業として育成する姿勢を鮮明にしている。
業界団体は、Huaweiが中央政府と深圳市から半導体生産ネットワーク構築に向けて約300億ドルの支援を受けていると推計した。別の分析では、2019年以降にHuaweiへ投じられた国家支援の累計は750億ドルに達するとの見方も示されている。
中国の産業政策もHuaweiには追い風だ。中国政府は国内の大手テック企業によるAMDやNVIDIAのAIチップ購入を事実上制限する一方、HuaweiのAIアクセラレーター「Ascend」を中国市場の中核プラットフォームとして育成している。
このためHuaweiは、政策支援を追い風に安定した需要を確保しやすい立場にあるとみられている。
米政府の輸出管理も、生産ネットワークを巡る疑念を補強する材料として挙げられる。報道によれば、米国は関連企業群を一つのネットワークとみなし、輸出規制の対象に組み入れたとされる。
中国側が名目上は独立企業の形を取りつつ、実態としてはHuaweiと結び付いた生産網を運営している可能性がある、との指摘も出ている。
HuaweiにとってDRAMの生産基盤確保を急ぐ動機は大きい。AI市場の拡大で高帯域幅メモリー(HBM)の需要が急増する一方、米国の規制によりグローバルな供給網へのアクセスが制約を受けているためだ。
業界では、自前のDRAM生産能力の確保は、単にメモリー事業を拡大するだけでなく、AIチップの競争力強化にも直結する中核戦略になり得るとみている。
Huaweiは現在、スマートフォンではApple、サーバー向けCPUではIntel、AIチップ市場ではNVIDIAと競合している。一方で生産面では中国ファウンドリーのSMICへの依存が続いており、製造プロセスの競争力はTSMCに約2世代遅れていると評価されている。
メモリー分野でもSamsung Electronicsとの差はなお大きい。Samsung ElectronicsはHBM技術で中国のCXMTを3〜4年先行しているとされる。
もっとも、汎用DRAMでは中国勢が急速に技術力を高めており、SSDに使われるNANDフラッシュでは相応の競争力を確保したとの評価もある。
業界では、今回のDRAM生産説が事実と確認されれば、Huaweiがチップ設計から生産、メモリー供給までを一体で手掛ける希少な半導体企業へと飛躍する可能性があるとみている。現時点で、こうした事業構造を最も広範に構築している企業の代表例としてはSamsung Electronicsが挙げられる。