AI投資拡大を追い風に注目を集めるToto、Nittobo、Ajinomoto。写真=Nittobo

日本株市場で、半導体メーカーではないToto、Nittobo、AjinomotoがAI需要の恩恵銘柄として存在感を高めている。半導体の設計や製造を直接担っているわけではないが、製造装置向け部品や基板材料、パッケージ向け絶縁材などの重要部材を供給しており、株価も大きく上昇している。

CNBCが22日に報じたところによると、3社はそれぞれ既存の素材・製造技術を半導体サプライチェーンに展開し、年初来の株価上昇率はTotoが78%、Nittoboが63%、Ajinomotoが61%に達した。

3社に共通するのは、半導体の設計や生産を手掛けない一方で、製造やパッケージ工程に欠かせない中核部材を供給している点だ。住宅設備大手のTotoは半導体製造装置向けのセラミック静電チャックを生産し、Nittoboは半導体パッケージ基板向けの高性能ガラス繊維を供給する。

食品大手のAjinomotoは、高性能コンピューターやデータセンターサーバー向け半導体パッケージに使われる絶縁材料「ABF」を展開している。

業績面でも、AI需要がサプライチェーン全体に波及している構図が鮮明になっている。3月31日までの前期は、3社とも半導体関連事業で明確な伸びを示した。AIサーバーやデータセンター向け投資の拡大が、装置、パッケージ、電子材料の各分野に波及し、本業以外の事業の収益寄与を押し上げた。

Totoは主力の住宅設備事業で売上高と利益が減少したものの、先端セラミックス事業がこれを補った。同事業の通期売上高は34%増、営業利益は42%増だった。

同社は、IoT、DX、AI、データセンター需要の拡大を背景に先端半導体製造装置の需要が高まり、収益性が改善したと説明した。セラミック静電チャックは半導体のエッチング工程でシリコンウエハーを固定する部材で、自社セラミックスが先端チップの歩留まり向上に寄与しているとしている。

一方でTotoは、事業の軸足を住宅設備から半導体へ急速に移す考えはないとした。先端セラミックスは高成長分野ではあるものの、事業化から40年の間には赤字期もあったとし、「ある部門が他部門より優れているとは考えていない」と説明した。

住宅設備事業は財務基盤を支える安定収益源であり、変動の大きい半導体業界の特性も踏まえ、両事業のバランスを維持する方針だ。

Nittoboは、電子材料事業がすでに同社の成長の柱になっていると明らかにした。1984年に発売した「Tグラス」は、プリント配線板や電子部品に使われている。

同社は、AI半導体需要の拡大が設備投資や研究開発、人員配置にも影響を及ぼしていると説明。Tグラスを含む電子材料が、今後10年の成長を支える中核事業になると位置付けた。前期の電子材料事業の売上高は前年比20.4%増、営業利益は39.7%増だった。

利益面での寄与も大きい。同事業は全社の売上高増加分の約91%を占め、営業利益の増加額は55億円と、全社営業利益の増加額44億円を上回った。

Nittoboは、データセンターサーバーやネットワーク機器、半導体パッケージ基板向け電子材料に用いられる特殊ガラスの需要が今後も続くとみて、生産能力の増強を進める方針だ。複合材や産業材など、既存のガラス繊維事業の用途拡大にも取り組んでいる。

Ajinomotoも、半導体パッケージ用絶縁フィルム「ABF」を背景にAI関連銘柄として注目を集めている。ABFは1999年に商用化され、現在はCPUをはじめとする高性能半導体に採用されている。

同社によると、ABF開発の出発点は、うま味調味料MSGの製造過程で生じた副産物だった。半導体パッケージの高度化に伴ってABFの重要性は増しており、AIと5Gの普及が半導体需要を継続的に押し上げると見込んでいる。

AjinomotoはABF単独の業績を開示していないが、これを含むヘルスケア等セグメントの前期売上高は約4%増、事業利益は45.1%増だった。電子材料の売上拡大が一部寄与したという。

同セグメントは全社利益の3分の1超を占め、売上高、利益ともに冷凍食品部門を上回った。同社は「高付加価値の先端分野で、ABF製品を中心に継続的な成長を見込む」としている。

今回の事例は、AI投資の恩恵が半導体の設計・製造だけでなく、装置部品、基板材料、パッケージ向け絶縁材などサプライチェーン全体に広がっていることを浮き彫りにした。日本メーカーが長年培ってきたセラミックス、ガラス、化学材料の技術が、AI関連サプライチェーンで改めて評価されていることも示している。

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