TSMCが2027年から半導体受託生産の単価を引き上げる方針だと報じられ、Appleの調達コストが一段と膨らむ可能性が出てきた。新型iPhoneを含む今後の製品価格戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
ITメディアの9to5Macが21日付で報じたところによると、TSMCは顧客企業との価格交渉をすでに終えており、引き上げ幅は5〜10%程度になる見通しだ。
今回の報道は、Appleがメモリコストの上昇を理由に主要製品の価格を大幅に引き上げた直後に伝わった。Appleは先月、一部製品を50%超値上げし、メモリやストレージのアップグレード費用も構成によっては2倍に引き上げた。
Appleは当時、問題解決に向けて継続的に対応を進めていると説明していたが、市場では短期間で価格が元に戻る可能性は低いとの見方が続いていた。
足元では、9月に投入が見込まれる新型iPhoneの価格設定に関心が集まっている。既存製品の値上げに続き、新モデルについても発売時点で価格改定が行われるのではないかとの見方が出ている。
そこに主要なチップ供給先であるTSMCの単価引き上げが加われば、Appleのコスト負担はさらに重くなる可能性がある。
TSMCの値上げ案は、通常の生産単価の引き上げにとどまらない。顧客が当初示した需要見通しを上回って追加発注する場合、最大15%の割増料金を上乗せできる内容も含まれているという。
Appleが新製品需要を慎重に見積もった後に追加発注を迫られる局面となれば、負担増は避けにくい。
TSMCは値上げ計画の詳細についてはコメントを控えた。一方で、顧客と緊密に連携しながら、自社サービスの価値を提供する取り組みを続けていると説明した。
サプライチェーンを巡る交渉でも、単純な価格調整よりサービス価値と生産能力を前面に押し出す従来の姿勢を維持した形だ。
Appleの説明と消費者の受け止めの間には温度差もある。Appleは値上げを不可避だったと説明したが、市場では値上げが事実上常態化するのではないかとの見方も出ている。
その場合、消費者が買い替えサイクルを長期化させる形で対応する可能性が高いとの反応もみられる。
こうした局面でのTSMCの追加値上げは、Appleの価格戦略に直接的な圧力となり得る。Appleがメモリコストの上昇をこれ以上自社で吸収しにくい状況にあるなか、チップ生産単価まで上がれば、販売価格と収益性のどちらを優先するか、改めて判断を迫られるためだ。
TSMCは最近、米アリゾナ州で半導体工場を最大12カ所建設できる可能性にも言及している。ただ、現時点で市場の関心は生産拠点拡大構想よりも、顧客に適用される今回の値上げ計画に向かっている。
Appleが今後の製品価格にこのコスト増をどの程度反映させるのかが、次の焦点となる。