中国による輸出規制の検討は、AI競争の軸が開発力からアクセス統制へ広がりつつあることを示している。写真=Shutterstock

中国が、国産のAIモデルと半導体を戦略資産として位置付け、輸出統制の強化を検討していると報じられた。米国が先端AI半導体や半導体製造装置の対中輸出を制限してきたのに続き、中国もAI関連技術の国外移転を直接管理する方向に動けば、米中の技術競争は供給網を超え、AIモデルそのものへのアクセス統制にまで広がる可能性がある。

Cryptopolitanが21日付で報じたところによると、中国は国産AIモデルと半導体を対象とした輸出統制を検討している。規制案の詳細は明らかになっていないが、産業競争力の底上げと制度整備を並行して進めながら、重要技術の海外移転を管理する枠組みを準備しているという。

今回の動きは、中国の産業戦略の変化を映すものでもある。これまで海外の先端技術の確保に重点を置いてきた中国が、AIモデルや半導体、ロボティクスを国家の中核資産とみなし、輸出管理の対象に組み込む段階に入りつつあるとの見方が出ている。

こうした変化については、戦略国際問題研究所(CSIS)、Mercator Institute for China Studies(MERICS)、Rhodium Groupなどの主要研究機関も共通して指摘している。

背景にあるのは、米国による対中半導体輸出規制だ。米国は2022年10月以降、高性能AI半導体と半導体製造技術の対中輸出を大幅に制限し、その後も規制を段階的に強化してきた。

CSISは今年3月の報告書で、中国の集積回路生産が2022年以降に約9.8%減少したと分析した。先端技術へのアクセスが制限された結果、多くの中国企業は7ナノメートル以下のプロセス半導体を生産できていないとしている。

一方で、こうした規制が中国の技術自立を促したとの見方もある。CSISの研究陣は、米国の輸出統制は産業発展を阻害するだけでなく、国家レベルの投資拡大や調達政策の見直し、国産半導体へのシフトを加速させる契機になったと分析した。

中国は現在、半導体に加え、基盤AIモデルやAIインフラ、ロボティクス全般へと投資対象を広げている。

輸出統制を支える法的基盤の整備も進む。MERICSによると、中国国務院は今年4月、産業・供給網の安全保障と、外国政府による域外管轄への対応を盛り込んだ2件の規定を施行した。

新たな規定には、企業に対する制裁や事業制限、「悪意ある実体」の指定権限を拡大する内容が含まれるという。

チョン・サンジェン中国国家発展改革委員会主任は4月、人民日報への寄稿で、重要技術分野では依然として海外依存による「首を絞められる」リスクが残ると指摘した。海外のDe-risking(ディリスキング)政策に対応するには、より強力な政策手段が必要だと強調した。

MERICSのジェイコブ・ガンター研究員は、こうした経済安全保障強化の流れについて、近現代史でも最も極端な産業防衛の事例の一つだと評価した。

市場では、中国がAIサプライチェーン全体を掌握できなくても、相応の影響力を行使し得る点に注目が集まっている。Rhodium Groupは今年5月の報告書で、最先端AI半導体は依然として中国の弱点だとしつつ、AIモデル、成熟プロセス半導体の生産、AIインフラ、ロボティクスでは競争力が急速に高まっていると分析した。

このため、中国が国産AIモデルや自国設計の半導体を許可制で管理したり、輸出を制限したりすれば、世界のAI産業は、米国と中国がそれぞれ中核技術へのアクセスを統制する構図へ再編される可能性があるとの見方が出ている。

これは、この3年の流れとも異なる。これまでのAI関連の輸出統制は、米国から中国への一方向の措置という性格が強かったが、中国まで直接統制に乗り出せば、AIガバナンスは両国が互いの重要技術を制限し合う構造に変わる可能性がある。

もっとも、実際の運用では迂回流通が引き続き変数になる。CSISは昨年11月の報告書で、米国の輸出規制後も、性能を抑えたNVIDIAのAI半導体が100万個以上、グレー流通網を通じて中国に持ち込まれたと推定した。

同報告書はまた、Huaweiが仲介業者を通じてTSMC製の半導体を200万個以上確保したとも分析した。さらに米議会では、高性能AI GPUに原産地の位置追跡装置の搭載を義務付ける半導体セキュリティ関連法案の推進も伝えられている。

市場の関心は今後、中国が許可制や輸出制限を実際に導入するのか、また対象がAIモデルと半導体のどこまで広がるのかに集まっている。中国が重要なAI技術の海外移転を本格的に制限すれば、世界のAI競争は技術開発そのものに加え、誰が中核技術へのアクセスを握るかを巡る争いへと一段と広がりそうだ。

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