米上院で審議中のデジタル資産市場構造法案「CLARITY法案」を巡り、ホワイトハウスが最大の争点となっていた倫理条項で折衷案をまとめたと伝わった。これを受け、停滞していた上院審議の再開期待が高まり、暗号資産市場は反発した。
The Defiantが21日(現地時間)に報じたところによると、ホワイトハウスはCLARITY法案の利益相反防止条項を含む倫理パッケージで合意し、一部の共和党上院議員に関連する文言を提示した。合意の詳細や最終的な条文は、現時点で公表されていない。
この内容は、エリナー・テレット記者が複数の業界関係者の話として伝えたもの。交渉の最大の難所だった倫理条項で前進があったとの見方が広がり、投資家心理の改善につながった。
CLARITY法案は、米国のデジタル資産市場に対する監督体制を明確化する法案だ。証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の権限を切り分け、これまで規制当局の解釈に委ねられてきたデジタル資産ルールを法制化することを柱とする。法案は昨年に下院を通過し、今年は上院銀行委員会も通過した。
上院審議が足踏みしていた最大の理由は、この倫理条項にあった。民主党は、高位公職者が自ら規制対象となる暗号資産を保有したり、関連事業から利益を得たりすることを禁じる利益相反防止規定を求めてきた。本会議の終結投票に必要な60票の確保には民主党の一部協力が欠かせず、倫理条項が法案成立に向けた最後の焦点とみられていた。
論点は、ドナルド・トランプ大統領の暗号資産事業とも重なる。米政府倫理局が公表した資産開示資料には、約14億ドル規模の暗号資産関連収入が含まれ、ミームコイン「$TRUMP」のロイヤルティーやWorld Liberty Financial関連の収益も含まれるとされる。民主党は、こうした状況で公職者の利益相反を防ぐ仕組みがないまま市場構造法案を処理するのは適切ではないとの立場を維持してきた。
ホワイトハウスはこれまで、倫理条項は特定の人物や大統領一家だけを対象にするのではなく、すべての公職者に同一基準を適用すべきだと主張してきた。調整過程では、州司法長官に倫理違反の執行権限を持たせる案など複数の折衷案が議論されたが、民主党は不十分だとして反対し、関連修正案も上院銀行委員会で否決されている。
市場はこの報道に即座に反応した。CoinGeckoによると、ビットコインは約6万6700ドルと24時間前比で約2%上昇し、24時間の取引高は310億ドルだった。イーサリアムも約1.8%上昇。XRPは約4%高の1.15ドル(約173円)、ソラナも1%前後上昇した。
法案通過への見方も持ち直している。予測市場のPolymarketでは、審議停滞が続く間、CLARITY法案の通過確率は40%台前半まで低下していたが、今回の合意報道を受けて、投資家の間では交渉進展を織り込む動きが出ているという。
もっとも、最終成立までのハードルはなお残る。倫理条項での合意は本会議審議再開のきっかけにはなり得るが、法案通過を保証するものではない。上院は8月初旬に休会入りする予定で、日程面の余裕も限られる。最終採決には、なお民主党議員の追加支持が必要だ。
業界では、倫理条項の最終文言と、民主党交渉派がそれを受け入れるかどうかが、法案処理の最後の分岐点になるとの見方が出ている。CLARITY法案は、ステーブルコイン規制法「GENIUS法」と並ぶ米デジタル資産規制の柱と位置付けられており、今後の上院日程と与野党協議の行方に市場の関心が集まっている。