ビットコインで、量子コンピュータリスクへの警戒が市場の主要テーマに浮上している。Capriole Investmentsの独自モデルでは、ビットコインの「量子ディスカウント」が初めて30%に達した。一方で、米国のビットコイン現物ETFには直近5営業日で7億2700万ドルが純流入しており、機関投資家の資金流入は続いている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが21日(現地時間)に報じたところによると、Capriole Investmentsのモデルでは、量子コンピュータの脅威を反映した理論価値に対し、ビットコインの市場価格が30%低い水準にあるという。足元の価格は約6万5472ドルだった。
量子ディスカウントは、これまで約28%だった水準からさらに拡大し、過去最高を更新した。
背景にあるのは、量子コンピュータ技術の進展だ。Google Quantum AIは今春、ビットコインの暗号に使われるsecp256k1楕円曲線を解読し得るアルゴリズムの進歩が、想定より速い可能性があるとの見方を示した。これが投資家の警戒感を強めた。
ビットコイン開発者コミュニティで具体策が見えにくいことも、不安材料になっている。一部では、サトシ・ナカモトの約100万BTCを含む古い休眠ウォレットを強制凍結する案まで取り沙汰されたが、Bitcoin Coreの開発陣はこれを否定している。
Capriole Investmentsのチャールズ・エドワーズは、開発者に対し具体的な対応計画を示すよう求めた。これに対しGrayscaleは、市場の懸念は行き過ぎだとの見方を維持している。
Citiは一方で、ハッカーが現時点でブロックチェーンのデータを収集し、将来量子コンピュータが実用化された段階で復号を試みる「Harvest Now, Decrypt Later(いま収集し、後で解読)」戦略に警鐘を鳴らした。
民間企業では先回りの対応も進む。Galaxy Digitalは、Shorのアルゴリズム時代に備え、500万ドル規模の「Quantum Readiness」プログラムを立ち上げた。
Coinbaseのアドバイザリー関係者も、耐量子暗号への移行を急ぐべきだと主張している。Project Elevenは、現在の暗号方式を脅かす水準の量子コンピュータが2030〜2033年に登場する可能性があると見通している。
もっとも、量子リスクが意識されるなかでも機関投資家の買いは続く。米国のビットコイン現物ETFは直近5営業日で合計7億2700万ドルの純流入となり、20日単日でも2億2700万ドルが流入した。
同日には、イーサリアム(ETH)の現物ETFにも3800万ドルが流入した。
ビットコイン内部では、BIP-110アップグレードを巡る議論も続いている。全ノードの約23%を運用するBitcoin Knotsの開発陣は、スパム取引やNFTインスクリプション、ミームトークンの流入を抑えるため、OP_RETURNデータを83バイトに制限すべきだと主張している。
これに対し、マイケル・セイラーは「検閲であり、上から押し付ける通貨の純化だ」と強く反発した。
アルトコイン市場では、一部で持ち直しの兆しも出ている。オンチェーン分析会社Santimentによると、XRPの30日MVRVは再び0を上回り、直近1カ月に購入した投資家が小幅ながら含み益に入った。
ETH、エイダ(ADA)、チェーンリンク(LINK)でも同様の動きが確認された。
ただ、XRPについては本格的な上昇トレンド入りと判断するのはなお早いとの見方がある。1ドルの支持線は維持しているものの、短期的な抵抗線である1.1459ドル近辺では売り圧力が意識されている。長期トレンドの転換には、1.4159ドルの上抜けが必要と分析されている。
シバイヌ(SHIB)では、大口投資家による押し目買いも観測された。Arkham Intelligenceによると、最近Coinbase Primeから新規ウォレットへ、約6459億SHIB(約276万ドル)と、1624億SHIB(約67万ドル)が相次いで引き出された。
取引所外への移動は市場で流通する数量の減少につながるため、一般には長期保有のシグナルと受け止められる。
今週の最大の注目材料は米雇用関連指標だ。23日に発表される新規失業保険申請件数は、米連邦準備制度理事会(Fed)の金利見通しに影響を与える可能性がある。このため市場では、量子セキュリティを巡る議論、ETFの資金フロー、米経済指標を同時に見極める展開となりそうだ。