米上院では、暗号資産の市場構造を定める「CLARITY法案」の成立に向けた最終調整が大詰めを迎えている。最大の争点となっているのは、高位公職者による暗号資産事業への関与をどう制限するかという倫理条項と、その執行をどの機関が担うかという点だ。
ホワイトハウスは、ドナルド・トランプ大統領が利益相反防止に関する条項を受け入れたとして、民主党側に早期成立への協力を求めている。上院の交渉メンバーの間でも、大筋で合意に近づいたとの見方が出ており、8月の休会前に採決へ持ち込みたい考えだ。
21日付のBitcoin Magazineによると、ホワイトハウスと上院の交渉団は、トランプ大統領の暗号資産関連事業を巡る利益相反問題の収拾に向け、新たな倫理条項と執行体制の詰めの協議を続けている。
争点は、高位公職者の暗号資産事業への関与をどこまで制限するか、そしてその執行主体をどう設計するかにある。ホワイトハウスは、トランプ大統領が「史上最も包括的で広範な倫理条項」に同意したとし、民主党がこれ以上審議を引き延ばすべきではないと主張している。
もっとも、トランプ大統領が具体的にどの制限を受け入れたのかは明らかにされていない。関連文言を盛り込んだ最終法案草案の公表も遅れている。
民主党側には、合意の具体的な内容がなお共有されていないという。協議に参加したカーステン・ギリブランド、ルーベン・ガレゴ、アンジェラ・オルスブルックスの各上院議員も詳細案を確認できておらず、党内では実効性のある利益相反防止措置を法案に明記すべきだとの立場が維持されている。
執行体制も、最終局面の重要な論点となっている。上院銀行委員会に所属するケビン・クレイマー議員は、今回の協議で米司法省(DOJ)を主要な執行機関とする方向で、一定の共通認識が形成されつつあると明らかにした。
これに先立ち、シンシア・ルミス議員は、公職者が発行したトークンを上場した取引所を州司法長官が提訴できる案を検討していた。ただ、議論の軸足は州主導案から、米司法省を中心とする連邦レベルの執行体制へ移りつつあるという。
一方、業界の一部では、証券仲介者(broker)の定義がなお課題として残っているとの見方がある。クレイマー議員は、現行の定義では分散型の特性を十分に反映できていないとして業界に反発があると説明しつつ、残る隔たりは細部の違いにとどまるとの認識を示した。
トランプ大統領を巡る利益相反問題は、これまでの交渉でも大きな足かせとなってきた。Reutersによると、トランプ大統領の家族資産は政権復帰後に20億ドル(約3000億円)以上増加した。
さらにトランプ大統領自身も昨年、暗号資産事業で10億ドル(約1500億円)超の収益を得たとしていた。これを受け、民主党は大統領と副大統領、連邦議会議員による暗号資産事業への関与を制限する修正案を進めたが、委員会審査では否決された。
CLARITY法案はすでに上院銀行委員会を15対9で通過している。この際、民主党のガレゴ議員とオルスブルックス議員も賛成したが、両議員は倫理条項が十分に盛り込まれなければ最終採決での支持は難しいとの立場を示してきた。
残された時間は多くない。共和党の上院院内総務ジョン・スーン氏は、8月初めの休会前に本会議採決を実施する方針を掲げている。スコット・ベセント財務長官も、法案は「1ヤードラインにある」と述べ、成立は目前だとして迅速な対応を促した。
ただ、上院は政府機関閉鎖(シャットダウン)回避に向けた予算案や継続決議案の処理も並行して進める必要がある。このため、実際の採決日程は議会日程に左右される可能性がある。
市場では、最終的な倫理条項の内容が開示されるかどうか、また民主党の交渉メンバーがそれを受け入れるかどうかが、法案の成否を左右する最後のポイントとみられている。Galaxy Researchは、現時点でのCLARITY法案の成立確率を50%程度と見積もっている。