Ethereumが7週ぶりに1950ドル近辺まで上昇し、戻り基調を強めている。ショートポジションの清算が相場を押し上げたほか、ステーキング比率の上昇も下支え材料となっている。ただ、オンチェーン指標の弱さはなお目立っており、市場では次の節目となる2100ドルを回復できるかが焦点になっている。
21日付のCointelegraphによると、今回の上昇局面では、レバレッジをかけた下落ポジションで6200万ドル(約930億円)規模の清算が発生した。
Ethereumは前日夜、6月26日に付けた1500ドルの安値から29%上昇した。Bitcoinが6万6500ドルを上回るなか、暗号資産市場全体でリスク選好が持ち直した流れに連動した形だ。
一方で、Ethereumのファンダメンタルズはなお力強さを欠く。ネットワーク利用は6カ月前の水準を回復できておらず、ミームコインやユーティリティトークンに対するトレーダーの関心も鈍っている。Ethena、Mantle、ArbitrumなどEthereum基盤の主要プロジェクトの一部は、年初来で50%以上下落した。
ネットワーク収益や取引高も低調だ。Ethereum基盤の分散型アプリケーション(DApp)の週次収益は980万ドル(約147億円)と、2024年9月以降で最低水準まで落ち込んだ。同じ期間の週次収益は、Sky(旧MakerDAO)が320万ドル(約48億円)、Chainlinkが120万ドル(約18億円)だった。分散型取引所(DEX)の週次取引高も72億ドル(約1兆800億円)に縮小している。
こうしたオンチェーン活動の弱さは、デリバティブ市場にも表れている。Ethereum無期限先物の年率換算ファンディングレートは、この1カ月、中立圏とされる6~12%を安定して維持できなかった。もっとも、6月末にマイナス圏へ落ち込んだ局面と比べれば、投資家心理はやや改善している。当時は下落ヘッジ需要の強さが反映されていたが、足元ではステーキング需要の拡大が下値を支える要因として意識されている。
実際、ステーキング比率は過去最高水準まで上昇した。ステーキング報酬の集計データによると、Ethereum供給量の34%がステーキングされており、1カ月前の33%からさらに上昇した。長期保有志向の投資家が供給を市場から吸収することで、売り圧力が和らぐとの見方もある。
この間、トム・リー氏のBitMineはこの1カ月で15万6719ETHを追加取得した。現在の保有量は、流通供給量の4.8%に相当するという。市場では、こうした蓄積の動きが中長期的に需給改善につながる可能性があるとみられている。
ただ、強気ムードが完全に戻ったわけではない。Ethereum価格は、2025年8月に記録した史上最高値(ATH)をなお61%下回る。直近6カ月にわたる弱気相場と低調なオンチェーン指標を背景に、デリバティブ市場の強気姿勢も限定的だ。無期限先物のファンディングレートが中立圏を下回っている点は、強気派の確信がなお十分ではないことを示すシグナルと受け止められている。
今後の変動要因は、暗号資産市場の外部環境にも広がっている。米国株は21日に上昇し、人工知能(AI)関連株の急騰後に強まっていた割高感への警戒はやや和らいだ。米3Mが同日に決算を公表したのに続き、Alphabetは22日の取引終了後に四半期決算を発表する予定だ。投資家は、クラウドサービス売上高が64%成長したかどうかや、今後の売上高見通しを注視している。
市場では、Ethereumの次の上昇局面はステーキング拡大だけでは決まらず、オンチェーン指標の改善とリスク選好の回復がそろって持続するかがカギになるとの見方が出ている。