Goldman Sachsは、富裕層顧客やファミリーオフィス向けに未上場株投資の新プラットフォームを立ち上げた。上場前の高成長企業に投資したい需要の拡大を受け、既存の代替投資事業に未上場企業への直接投資とセカンダリー取引支援を組み合わせ、独立した組織として強化する。
CNBCが21日(米国時間)に報じたところによると、同社は新たな「代替投資プラットフォーム」を設け、関連事業を統合した。
再編の柱は、プライベートエクイティのようなファンド商品ではなく、個別の未上場企業に直接投資できる体制を整えることにある。あわせて、顧客が保有する未上場株の売買も支援する。新プラットフォームには既存の代替投資事業に加え、新設した2つのチームを組み込んだ。
1つは個別の未上場企業への直接投資を担うチーム、もう1つは顧客が保有する未上場株の売買を支援するチームだ。
Goldman Sachsは、富裕層マネーが上場前の大型成長企業に向かう流れを新たな事業機会とみている。ウェルス部門でグローバル代替投資責任者を務めるクリスティン・オルソン氏は、大型成長テック企業への関心が高まる中、顧客は株式公開前の段階でこうした企業にアクセスしたいと考えていると説明した。
背景には、ウォール街を取り巻く構造変化がある。有望なスタートアップが以前より長く未上場のまま成長し、初期投資家が上場前の段階で成長果実の相当部分を取り込む構図が定着しているためだ。
オルソン氏は、1兆ドル級の時価総額で上場する企業もあるとしたうえで、その前段階に参加できなければ成長サイクルの大きな部分を取り逃がすことになると述べた。
Goldman Sachsはこうした需要を見込み、約20年にわたり富裕層向けに後期段階の未上場企業への直接投資を仲介してきた。オルソン氏は、2012年のIPO前のFacebookのほか、その後のSpaceX、Stripe、Canvaを例に挙げた。
今回は、拡大する需要を踏まえ、この事業を独立したプラットフォームとして切り出した点が特徴だ。オルソン氏は、同社としてこの分野をより明確な事業領域として位置付け、本格的に強化していく考えを示した。
投資対象は創業初期のスタートアップではなく、後期段階の企業に重点を置く。Goldman Sachsは、製品を持ち、一定規模の売上があり、収益化までの道筋が比較的明確な企業を選好するという。
オルソン氏は、リスクとリターンのバランスを見極める戦略だと語った。
市場需要を押し上げている要因として、人工知能(AI)投資ブームも挙がる。Goldman Sachsは、大規模言語モデル(LLM)開発企業だけでなく、データセンターや関連プロジェクトなどAIインフラ分野にも顧客資金を振り向けている。
AIを巡る投資熱が一部のモデル開発企業にとどまらず、基盤設備へ広がっている流れを反映した動きといえる。
今回の発表は、同社が過去最高の四半期売上高を公表してから数日後に行われた。当時、経営陣は投資銀行業務、トレーディング、金融事業全般でAI関連の動きが活発化していると説明していた。
これによりGoldman Sachsは、AI投資サイクルの複数の局面で収益機会を狙うと同時に、ウェルス管理や資産運用部門で安定収益基盤の拡大を進める構えだ。
新プラットフォームでは、未上場株の流動化支援も正式な事業として位置付けた。Goldman Sachsは、新設したセカンダリー助言組織を通じて、顧客が未上場株を売買できる市場機能を広げる計画だ。
Goldman Sachsを通さずに取得した投資資産を整理したい顧客に対しても、売却に関する助言を提供する。
今回の再編は、未上場投資の取得と売却の両面を押さえる戦略といえる。上場前の有望企業へのアクセス需要が高まる一方、既存投資家の換金ニーズも増す中、同社は直接投資の仲介とセカンダリー取引を1つのプラットフォームに集約し、富裕層向けサービスの拡充を進めている。