韓国の半導体輸出が史上初めて月間400億ドルを突破した一方で、対中の半導体製造装置輸出は減少に転じた。米国による露光装置規制を受け、中国が後工程装置の国産化を進めており、韓国の装置・部材メーカーの対中輸出に変調が出始めている。
韓国関税庁によると、6月の半導体輸出は前年同月比196.9%増の449億5000万ドルだった。月間輸出額として初めて400億ドルを超え、16カ月連続の増加となった。
勢いは7月に入っても続いている。関税庁が21日に公表した7月1~20日の輸出入動向によれば、この期間の半導体輸出は221億1300万ドルと前年同期の2.8倍に拡大した。総輸出に占める半導体の割合は40.3%と、前年同期の21.9%から大きく上昇した。
一方、半導体製造装置の動きは鈍い。6月の対中輸出では、メモリ半導体が339.5%増と急伸したのに対し、半導体製造装置は1.9%減となった。半導体需要が急拡大する局面で、装置だけが伸び悩んだ格好だ。
輸入側でも似た傾向がみられる。6月の資本財輸入では、メモリ半導体が146.5%増だったのに対し、製造装置の増加率は51.4%にとどまった。7月1~20日の暫定値でも、半導体輸入は54.9%増、半導体製造装置輸入は56.9%増だったが、完成品の取引拡大ほどの勢いはみられない。
半導体そのものの輸出が急拡大する一方、製造装置の取引が伸び切らない背景には、中国の後工程装置の国産化があるとの見方が出ている。
中国は、米国がEUV(極端紫外線)やDUV(深紫外線)など先端プロセス向け露光装置の輸出規制を強めたことを受け、後工程に資本と人材を集中的に投じてきた。前工程の微細化ではなく、複数チップを高精度に接続して性能を引き上げるチップレットや先端3Dパッケージに軸足を移した形だ。
業界では、米国の規制が結果的に中国の後工程分野に明確な国産化目標と資金を呼び込んだとの見方が出ている。
この戦略の中核にあるのが、ハイブリッドボンディングだ。半導体の性能を高める手法は、大きく分けて単一チップ上の回路密度を高める微細化と、複数チップを積層・接続する実装技術の2つがある。露光装置規制で前者が難しくなる中、中国は後者を通じた性能向上に力を入れている。
ハイブリッドボンディングは、チップ間をつなぐ銅配線と絶縁体を直接接合する技術だ。信号の入出力経路を高密度で確保できるため、HBMやAIアクセラレーターのように大量データを高速処理する半導体の生産で重要な技術とされる。
従来は、チップ間の接続に「バンプ」と呼ばれる微細な突起が使われてきた。ただ、回路の高集積化が進むほどバンプ間隔の縮小には物理的な限界があり、信号遅延や発熱が課題になる。
これに対し、ハイブリッドボンディングは突起を使わずにチップ同士を直接貼り合わせるため、接合部を薄くでき、集積度も高めやすい。次世代の先端パッケージでは不可欠な工程として存在感を増しており、特にHBM4世代からの導入が注目されている。
米国の露光装置規制を受けるなかで、中国は後工程装置の自立も急いでいる。
業界によると、中国ではハイブリッドボンディングにとどまらず、チップを上下方向に接続するためウエハーに垂直の通路を形成するTSVのエッチング装置や、チップ表面を原子レベルで平坦化するCMP装置など、後工程の各段階で国産化が進んでいる。
実際、NAURAは成膜・エッチング装置、HwatsingはCMP装置を中国の内需市場に供給し、シェアを伸ばしているとされる。後工程に必要な装置を、国産品で一つずつ置き換えている構図だ。
国産化が進むほど、韓国の装置・部材業界の立ち位置は狭まる可能性がある。これまで韓国の中小・中堅メーカーは、中国のOSAT企業に装置や素材を大量に供給してきた。だが、中国がハイブリッドボンディングからTSV、CMP、検査装置まで後工程全般を自国の供給網に切り替えれば、韓国企業が中国の半導体サプライチェーンから押し出される可能性がある。
政府補助金を追い風に中国の装置メーカーがハイブリッドボンディングの高度化に成功すれば、グローバルOSAT市場や中低価格帯のパッケージ分野で、韓国企業の価格競争力や技術優位性が揺らぐとの懸念もある。韓国の後工程業界が熱圧着のTCボンダーなど既存技術に注力する間に、中国が次世代接合技術で差を縮めれば、対応が後手に回るとの指摘だ。
業界関係者は「当面は半導体市況の好調で、装置や部材分野の変化が見えにくくなっている」としたうえで、「中国の後工程国産化がどの程度のスピードで進むのか、注視する必要がある」と述べた。