生成AIの利用が日常に広がるなか、韓国通信大手3社のサブスクリプション戦略も変わりつつある。これまでOTTやショッピング、外食特典が中心だった各社の会員施策では、ChatGPTやGemini、Claudeなど生成AIサービスを組み込む動きが広がっている。
通信業界によると、SK Telecom、KT、LG Uplusの3社は22日までに、生成AIを活用したサブスク特典の拡充を進めている。AIサービスの利用負担を抑えながら、上位料金プランへの移行促進やサブスク基盤の利用拡大、長期顧客の囲い込みにつなげる狙いがある。
◆生成AI特典を拡充する通信3社
最も積極的なのはSK Telecomだ。同社は今月初め、サブスクプラットフォーム「T宇宙」で「Google AI Plan」3種類の提供を始めた。料金は「Google AI Pro」が月額2万6900ウォン、「Google AI Plus 2TB」が同1万900ウォン、「Google AI Plus 400GB」が同6900ウォン。定価より最大2100ウォン(約231円)安く設定した。
さらに7月に投入した「ベストPro」「ベストMax」では、選択特典にAIサブスクを追加した。Google AI Planに加え、YouTube Premium、Netflix、Disney+、Tving、Wavveの中から1つを選べる。OTT中心だった特典構成を、AIとOTTを組み合わせた形へ広げた格好だ。
KTは携帯電話決済とAI特典を組み合わせた。7月の1カ月間、「KTコンテンツペイ」でGoogle Playのサブスク商品を携帯電話決済すると、決済額の50%を請求額から割り引く。割引上限は5000ウォン(約550円)。対象にはChatGPT、Google AI Pro、Grok、Genspark、Claude、Perplexityの生成AIサービス6種が含まれる。対象AIサービスの決済利用者には、基本割引に加えて5000ウォン(約550円)を追加で割り引く。
LG Uplusは先月、Google Playストアで生成AIサービスのサブスク料金を携帯電話決済した利用者を対象に、最大45%の請求割引プロモーションを実施した。同社は「顧客のサブスク費用負担を軽減し、携帯電話決済の利用体験を広げるために用意した」と説明している。
◆通信各社は囲い込み、AI事業者は利用者拡大
業界では、通信3社による生成AI特典の拡大は、長期利用を促す戦略との見方が出ている。AIサービスは毎月利用料が発生し、利用頻度が高まるほど他サービスへ乗り換えにくくなるためだ。通信各社にとっては、AIサブスクを料金プランや決済サービス、サブスク基盤に組み込むことで顧客接点を増やし、継続利用を促しやすくなる。
データ通信量や音声通話の提供条件だけでは料金プランの差別化が難しくなるなか、AIサブスクは利用者が実感しやすい付加価値にもなる。月2万〜3万ウォン(約2200〜3300円)水準のAI利用料を割り引いたり、料金プラン特典として提供したりすれば、利用者にとっての割安感も相対的に大きくなるという。
囲い込み効果も期待される。業界関係者は「AIを含む複数のサブスク特典が組み合わさると、通信会社を乗り換える際に手放す特典も増える。日常的に使うAIサービスまで特典に入れば、ロックイン効果はさらに高まりやすい」と話した。
背景には、サブスクプラットフォームや携帯電話決済事業を育成できる点もある。今後は利用者の購読パターンを基に、パーソナライズした商品設計や追加の組み合わせ特典の開発も可能になるとの見方がある。
AI事業者にとっても、通信会社との提携は韓国内の利用者を短期間で広げる有効な流通チャネルになる。通信各社の加入者基盤や料金請求の仕組み、会員制度、決済インフラを活用できるため、追加のマーケティング費用を抑えながら有料会員を確保しやすい。
もっとも、こうした施策が安定収益に直結するかはなお見通せない。業界関係者は「利用者が継続して使いたくなる商品構成を作ることが重要だ。複数の通信会社が似たAIサービスを扱えば、差別化が難しくなる可能性もある」と指摘した。