DJIのドローン「Inspire 3」 写真=DJI

米連邦通信委員会(FCC)は、中国ドローン大手DJIとの関係が疑われる企業の既存のドローン・カメラ製品について、米国内での販売を遡及的に禁じる措置を検討している。すでにFCC認証を取得し販売中の製品も対象となる可能性があり、米国の対中ドローン規制はさらに強まる公算が大きい。

米ITメディアThe Vergeによると、FCCは20日(現地時間)、外国製ドローン規制を迂回して米市場に参入した疑いがある事業者の製品を対象に、輸入から流通、販促、販売までを一括して制限する案を検討している。

今回の措置は、FCCが昨年10月に確保した「遡及的な販売禁止」の権限を初めて適用する事例となる可能性がある。対象にはSkydiover Drones、Extra Camera、Cogito Tech、Pixaso Technology、Rhino Dynamics、Skyhigh Tech、Spatial Hover、SZ Knowact、WaveGo Tech、Extra Technologyに加え、農業用ドローンメーカーのXAGも含まれる。

FCCは11日(現地時間)、これらの企業に対して総額2万5000ドルの罰金を提案していたが、今回はそれにとどまらず、既存製品の販売停止まで視野に入れた。

最大の変更点は、すでにFCC認証を取得して米国で販売されている製品も規制対象となり得る点にある。例えば、Extraが販売するDJI「Osmo Pocket 3」ベースの製品は、これまでFCC認証を取得し、Amazonなどで通常販売されてきた。措置が確定すれば、主要ECモールや自社販売チャネルから排除される可能性がある。米国内の物流倉庫に保管されている在庫も販売できなくなる恐れがある。

一方で、今回の措置がすでに製品を購入した消費者にまで及ぶわけではない。FCCは、既存購入者からの回収は行わず、直ちに実施するわけでもないと説明した。まず30日間の公開意見募集を行った上で最終判断する方針で、国家安全保障上の懸念を根拠に、対象機器が販売禁止に該当するとの暫定的な判断を示した。同時に、企業側には反証となる具体的な証拠を提出する機会も与えるとしている。

FCCはあわせて、対象企業の「グランティ・コード(Grantee Code)」を一時停止したと明らかにした。グランティ・コードは、無線機器の認証手続きでメーカーや認証主体を識別する番号を指す。措置が維持されれば、対象企業は今後、米国で新製品の認証や販売承認を得る際にも大きな制約を受ける可能性がある。

今回の調査は、DJIの迂回販売構造を追跡してきた研究者コンラド・イトゥルベの指摘を受けて始まった。FCCはこれを踏まえて調査範囲を広げ、一部製品の認証手続きに関与した中国の試験機関SGS-CSTC Shenzhenとの関係も再検討する方針だ。

同機関は中国政府の統制下にはないと主張しているが、FCCは資本関係を踏まえ、米国法上は統制下にあるとみなされる可能性があると判断した。米国の無線機器認証規定では、特定主体が10%以上の持ち分を保有する場合、統制関係が成立し得るとしている。

業界では、今回の動きを、罰金措置にとどまらず、既存流通品と今後の認証手続きを同時に締め付けるものと受け止めている。米国の対中ドローン規制が一段と強化されるシグナルとの見方も強く、最終的な施行の可否は、意見公募の結果と企業側の説明内容を踏まえて決まる見通しだ。

キーワード

#FCC #DJI #ドローン規制 #国家安全保障 #FCC認証
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.