Grayscaleは21日、Worldcoinのトークン「WLD」を直接保有する現物上場投資信託(ETF)の登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。銘柄コード「GWLD」でNasdaq上場を目指すが、実現にはSECの審査に加え、Nasdaqの上場承認や規則変更手続が必要となる。規制リスクやトークンの保有集中も懸念材料だ。
提出書類によると、商品名は「Grayscale Worldcoin ETF」。WLDを現物で保有し、CoinDesk Worldcoin Benchmark Rateへの連動を目指すパッシブ型の商品となる。レバレッジやデリバティブは用いず、投資家が暗号資産取引所での売買や自己保管を行わずにWLDへ投資できるようにする。
受託・管理体制も明らかにした。WLDの保管はBitGo Bank & Trustが担い、管理機関と名義書換代理人はThe Bank of New York Mellon、受託者はCSC Delaware Trust Companyが務める。
もっとも、今回の段階は登録届出書の提出にとどまる。上場にはSECの承認とNasdaqの上場承認の双方が必要で、19b-4に基づく規則変更手続きも残っている。
Worldcoinは、World Networkのネイティブトークンだ。World NetworkはTools for Humanityが開発したIDプロジェクトで、OpenAIの最高経営責任者(CEO)サム・アルトマン氏とアレックス・ブラニア氏が共同設立した。プロジェクトは、人間であることを証明する「World ID」、ブロックチェーン基盤の「World Chain」、アプリ「World App」、虹彩を読み取る球形端末「Orb」で構成される。
一方で、規制面の不透明さは大きい。2024年から2025年にかけては、複数国の規制当局がOrbや虹彩画像の収集を巡り、規制措置や法執行、司法判断を示してきた。
Grayscaleもリスク要因として、こうした規制上の論点に加え、World Chainの中央集権的なシーケンサー運用、WLDの高い価格変動性、当局が同トークンを証券と判断する可能性を挙げた。これらの要因は、トークン価格の下落やETFの終了につながる恐れがあるとしている。
保有の集中も無視できない。上位100ウォレットが流通中のWLDの約90%を保有しており、チーム分と投資家分のロックアップ解除は2028年7月ごろまで続く見通しだ。
市場は提出直後に反応したが、上昇幅は限定的だった。WLDは書類提出後に約4%上昇したものの、価格は0.375ドル前後と、2年前の高値を約97%下回る水準にある。
Grayscaleの提出書類によれば、6月30日時点のWLD流通量は約35億枚、時価総額は約14億ドル、日次取引量は1億3510万ドルだった。
今回の申請は、Grayscaleが暗号資産ETFの品ぞろえを広げる流れの一環でもある。同社は2024年1月に主力のビットコイントラストをETFへ転換し、その後はイーサリアム関連ファンドも投入した。さらに、ソラナ、ドージコイン、Chainlink関連の商品も追加、または申請している。
Worldcoinの現物ETF申請は、WLDを米国の制度圏の投資商品に組み込もうとする動きといえる。ただ、実際の取引開始はSEC審査やNasdaq上場手続きの進展に加え、Worldcoinを巡る規制リスクを乗り越えられるかに左右されそうだ。