英AIスタートアップのCuspAIは、4億5000万ドルを調達し、NVIDIAと連携して次世代半導体向け新素材の探索に着手する。企業価値は26億ドルとされた。米CNBCが20日(現地時間)に報じた。
今回の調達には、ジェフ・ベゾス氏の投資会社Bezos Expeditionsのほか、Kleiner Perkins、New Enterprise Associates(NEA)、Glade Brook Capital Partners、Lux Capital、AMD Ventures、英国Sovereign AI Venture Fundなどが参加した。
CuspAIは資金調達に合わせ、NVIDIAをはじめとするグローバル企業や研究機関と協力する研究プラットフォーム「AI Materials Foundry」も立ち上げた。
同社の中核技術は、AIを使って新素材の特性を事前に見極め、実験が必要な候補物質を絞り込む点にある。
半導体、クリーンエネルギー、先端製造の各分野では、求める性能を持つ新素材を見つけるために膨大な組み合わせの検証が必要になる。CuspAIはAIによって探索範囲を大幅に絞り込み、開発期間とコストの圧縮を目指す。
投資家のKleiner Perkinsでパートナーを務めるジョシュ・コイン氏は、技術革新の多くは最終的に新素材から始まると説明した。低コストの炭素回収から次世代半導体、クリーンな水の生産技術まで、未発見の素材がブレークスルーの鍵を握る領域は多いとし、CuspAIを素材探索の新たな基盤になり得る存在だと評価した。
AI Materials Foundryは、データや実験設備、計算資源、研究者ネットワークを統合した研究プラットフォームという。NVIDIAは参加する45機関の一つとして、アクセラレーテッドコンピューティングのインフラを提供する。Metaの基礎AI研究部門も加わり、AIモデルと科学研究を支援する予定だ。
CuspAIの最高経営責任者(CEO)、チャド・エドワーズ氏は、AIが物理世界を変える時代には、新素材が半導体、エネルギー、先端製造の革新を支える中核要素になると述べた。その上で、AI Materials FoundryはNVIDIAの計算基盤と化学・素材分野の専門性を組み合わせることで、次世代素材の発見スピードを大きく高められるとの見方を示した。
今回の動きは、AI企業の事業領域がソフトウェアにとどまらず、物理産業の課題解決へ広がっている流れを映す。CuspAIはAIを活用した素材探索に注力する代表例の一つとみられており、シンガポールに新拠点を設けたほか、英国、オランダ、ドイツ、日本、米国などで研究体制を拡充している。
ベゾス氏の参画も市場の関心を集めている。CNBCによると、ベゾス氏が設立したAI研究企業Prometheusは2025年に始動し、発明や物理エンジニアリング向けのAIを開発している。現在の企業価値は410億ドル、確保した投資額は120億ドルとされる。
今後は、CuspAIが半導体・エネルギー分野で素材開発期間をどこまで短縮できるかに加え、AI Materials Foundryがグローバルな研究ネットワークを実際の成果につなげられるかが焦点となりそうだ。