Ethereumでバリデーターの退出待機列が再びゼロとなった。ステーキング資金の引き出しを急ぐ動きが沈静化する一方、新規バリデーターの参加需要は増加しており、ネットワークの安定性が意識される局面に入っている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが20日付で伝えたところによると、オンチェーンデータ企業ValidatorQueueは、Ethereumのバリデーター退出待機列が18日から20日まで3日連続で空になったと明らかにした。ステーカーの間で、ネットワークから退出するための切迫した出金需要が事実上消えたことを示す動きだという。
Ethereumのステーキング環境は、前年から大きく様変わりした。2025年9月には、バリデーターの退出待機量が最大267万ETH(約117億ドル)まで膨らみ、大規模な売り圧力への警戒感が強まっていた。
その後は流れが反転し、今年1月には退出待機列が初めてゼロを記録した。足元でも再び同様の状態が確認された。
現在のEthereumネットワークでは、88万4440人のバリデーターが稼働している。ステーキング総額は4080万ETHを超え、流通量全体の約33.5%を占める。
一方で、新規バリデーターの参加待機は増え続けている。アクティブ化を待つ残高は約250万ETHに達し、想定待機時間は最長43日10時間となった。
こうした状況のなか、Ethereumではステーキングの拡大とネットワークの拡張性をどう両立するかという課題も浮き彫りになっている。現在のビーコンチェーンは全バリデーターの情報を保存・管理する設計となっており、バリデーター数の増加に伴って保持すべきデータも膨らむためだ。
今後、バリデーター数が数百万人規模に拡大した場合、ネットワーク負荷が大幅に高まる可能性があるとの指摘も出ている。
ヴィタリック・ブテリン共同創設者は先月公表した提案書「The Extremely Lean Chain」で、この課題に対応する新たな構造を示した。ゼロ知識証明(ZKP)を活用し、バリデーター1人当たりの状態データを約6バイト水準まで圧縮する、2段階のビーコンチェーン再設計案だ。
新たな構造では、従来は各エポックで実施していた残高更新を、1日1回のZK-STARK証明に置き換える。また、ネットワーク状態の管理機能をバリデーター側に移し、全ノードの負荷を軽減する「Lean Ethereum」の実現を柱に据える。
ブテリン氏はこの再設計を、Ethereumにとって「3回目の主要な進化」と位置付けた。必要に応じて、合意形成の仕組みを数百万人規模のバリデーターまで拡張できる基盤になると説明している。
退出需要が事実上消える一方で、新規ステーキングの待機はなお積み上がっている。Ethereumでは安定性を維持しつつ、大規模バリデーター時代を見据えた拡張性の確保が急務となっている。