ビットコインは、米ハイテク株が調整色を強める中でも6万5000ドル台を回復し、相対的な底堅さを示している。ただ、デリバティブ市場では強気姿勢がなお限定的で、7万ドル乗せにはAI関連企業の業績悪化が一段と広がるかが焦点となっている。
Cointelegraphが20日付で報じたところによると、ビットコインは先週、6万5500ドルを明確に上抜けることはできなかった。一方で、半導体や人工知能(AI)関連銘柄に利益確定売りが広がる中でも、伝統的な金融市場とは異なる値動きを見せた。
市場の関心は、ビットコインがハイテク株の弱含みから切り離されて動き始めたのかどうかに集まっている。ハイテク株中心のナスダック100先物は18日に5週ぶりに2万8800を割り込んだが、ビットコインは週末に持ち直し、20日には再び6万5000ドルを上回った。
現物市場では、Strategyの資金確保も支援材料として意識された。Strategyは前週、普通株の売却で2億6300万ドル(約395億円)を調達した。これにより、保有ビットコインを追加で売却するのではないかとの懸念がいくぶん和らいだという。
これまで市場では、Strategyが永久持分型の投資家向けに年17億6000万ドル(約2640億円)の配当負担を抱えることに加え、2028年と2029年に償還を迎える計26億ドル(約3900億円)規模の転換社債を抱えている点が重荷とみられてきた。同社は現金保有額を32億2000万ドル(約4830億円)まで積み増し、保有ビットコインの含み損に伴う不確実性の抑制を図っている。
もっとも、デリバティブ市場はなお強気一辺倒ではない。ビットコインの無期限先物における年率換算の資金調達率は20日時点で8%と、1週間前と同じ水準だった。一般に12%を上回ると、レバレッジをかけた強い買い需要があると受け止められる。
この水準は7月10日以降確認されておらず、主要トレーダーが7万ドルに向けた本格的な上昇局面にまだ確信を持っていないことを示唆している。
オプション市場も同様のシグナルを発している。ビットコインの30日物オプションのデルタ・スキューは20日に13%となった。一般に中立圏はマイナス6%から6%とされ、この水準は大口投資家やマーケットメイカーが下振れリスクへのエクスポージャーになお慎重であることを示す。
リスク資産全般の投資家心理も守りに傾いている。IBM、SanDisk、Oracle、ARM、SpaceX、IntelなどAI関連銘柄が急落した局面と重なり、米5年国債利回りは2週間前の4.22%から20日には4.33%へ上昇した。
国債利回りの上昇は、投資家がより高い利回りを求めた結果であり、市場のリスク回避姿勢の強まりを映したとの見方が出ている。
金相場も例外ではない。金価格は5月中旬以降、下落基調が続いた。世界的な成長鈍化懸念や中東情勢の緊張がくすぶる中でも、特定の資産クラスだけが一方的な逃避先になっているわけではないことを示している。
地政学リスクも重なった。ドナルド・トランプ米大統領は20日、ヨルダンで米軍兵士が死亡したミサイル攻撃を受け、イランへの報復を表明した。こうした緊張の中でもビットコインが6万5500ドルまで上昇したことは、伝統的金融市場とのデカップリング期待を高める材料と受け止められた。
今後の焦点は、この流れが持続するかどうかだ。デリバティブ指標はまだ明確な強気転換を示していないものの、AI関連企業の業績悪化が広がれば、ビットコインが再び相対的に強い資産として選好される余地はある。とりわけAI部門の業績が弱ければ、7万ドル乗せに向けた追加上昇のきっかけになり得る。