ASMLは、2026年の売上高見通しを430億〜450億ユーロに引き上げるとともに、今後2年で生産能力を30%拡大する方針を示した。AI向け半導体需要の拡大をにらんだ対応で、欧州初の時価総額1兆ドル企業となるとの観測も市場で広がっている。
20日付のCryptopolitanによると、今回の発表で市場の関心を集めたのは業績そのものより、AI半導体の供給網におけるボトルネックの緩和につながる増産計画だ。オランダのASMLは、EUV露光装置を供給する世界唯一の企業として知られる。
TSMC、Samsung Electronics、SK hynixはいずれも最先端半導体の生産にASML製装置を採用している。このため、ASMLの増産動向は世界のAI半導体供給を左右する要因の1つとみられている。
ASMLは15日の決算発表で、四半期売上高が93億ユーロ、純利益が29億ユーロ、売上総利益率が54.0%だったと明らかにした。新規の露光装置販売は86台、基本1株当たり利益(EPS)は7.59ユーロだった。
クリストフ・フーケ最高経営責任者(CEO)は、上半期の顧客受注が高水準で推移したと説明した。
増産計画の詳細も示した。Low-NA EUVの年間生産能力は、2026年の65台から2027年には85台へ引き上げる可能性がある。DUV露光装置のうちイマージョン機も、同期間に130台から170台へ拡大する見通しだ。
さらにASMLは、2028年までに生産能力を追加で約30%引き上げる案も検討している。
もっとも、不確実要因は残る。ASML株は年初来で約75%上昇したが、増産計画が業績に結び付くには実際の販売拡大が必要となる。顧客各社の設備投資計画も、実際の発注に移行するかが焦点になる。
戦略国際問題研究所(CSIS)は、米国で検討されているハードウェア技術規制関連法案について、ASMLに加え、日本のNikon、Canonによる先端露光装置の輸出規制を強化する可能性があると分析した。あわせて、中国向け売上高が2025年のASML全体売上高の最大27%を占めた可能性があるとの試算も示した。
ASMLは四半期中に約11億ユーロの自社株買いを実施した。2026年の中間配当は1株当たり1.88ユーロとし、8月5日に支払う予定だ。
露光装置の供給が増えれば、半導体供給網の制約は先端パッケージング、高帯域幅メモリ(HBM)、電力・冷却設備へ移る可能性がある。SEMIは、2026年の世界の半導体製造装置売上高が前年比23.2%増の1659億ドルとなり、2028年には2295億ドルに達すると予測している。