就任1周年の記者懇談会で発言するペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官(写真=科学技術情報通信部)

ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は20日、就任後の1年を「AI転換の基盤を整えた時期」と総括し、今後はフロンティアモデルやエージェント型AI、フィジカルAIで具体的な成果を出す段階に入るとの認識を示した。年内には全国民向けAIサービス「みんなのAI」を投入し、韓国型AIエコシステムの構築を加速する方針だ。

同日、政府世宗庁舎で開いた就任1周年の記者懇談会で、ペ副首相は「AI時代の科学技術社会に向けた土台は整えた。これからは、その基盤の上で実質的な成果を生み出し、証明しなければならない」と述べた。

この1年で最も意義の大きい成果としては、独自AI基盤モデル(ファウンデーションモデル)プロジェクトの始動と、国家レベルでGPU確保の必要性を巡る社会的な認識の共有を挙げた。ペ副首相は、過去とは異なり、自前のAI競争力が必要だという認識が社会全体に広がったと評価した。

そのうえで、「AIサービスの競争力をどう築くかについて悩みが大きかったが、まずは準備を着実に進めることが重要だ」と語った。

一方で、AI政策を巡る議論がモデル性能の競争に偏りすぎている点は課題だと指摘した。ペ副首相は「AIモデルを作ること自体が目的ではない。エージェント型AI時代に備え、プラットフォームやトークン最適化、実際のサービス競争力を早期に整える必要がある」と話した。

◆独自AIとフロンティアモデルを二本立てで育成

政府は、産業・公共分野での活用を主眼とする独自AI基盤モデルと、世界最高水準を目指すフロンティアモデルを並行して育成する二本立て戦略を進めている。

独自AI基盤モデルプロジェクトは、公共サービスへの展開と産業のAI転換を支えるモデルの確保に重点を置く。一方で、最先端のフロンティアモデル開発にも投資し、韓国が世界最高水準のAI競争力を持つ国として認められることを目指す。

ペ副首相は、フロンティア級モデルの開発には従来を大きく上回る資源投入が必要だとして、関係省庁との協議を続けていると説明した。

具体的には、独自AI基盤モデルの支援対象企業に配分されるNVIDIA B200 GPUは500~700基程度にとどまる一方、Mythos級のフロンティアモデルにはVera Rubin GPUが約1万基必要になるという。購入費だけでも現行価格ベースで約3兆5000億ウォンに達するとした。

さらに、プラットフォームやクラスター整備などの関連費用まで含めれば、総コストは極めて大きくなるとし、科学技術情報通信部は財政当局や関係省庁と協議して予算確保を進める方針を示した。

ペ副首相は、フロンティアモデルを国家戦略資産として捉えるべきだとも強調した。「今後、フロンティア級AIモデルは核兵器のように国家管理の色彩が強まる可能性がある。海外AIサービスが止まったり、価格が20倍、100倍に高騰したりする事態もあり得るだけに、自前のAI能力を育てなければならない」と述べた。

年内に提供を予定する全国民向けAIサービス「みんなのAI」については、国内AIサービスの競争力確保に向けた出発点になるとの見方を示した。科学技術情報通信部は、汎用AIチャットボットを全国民向けに提供した後、公共AIエージェントや特化型AIサービスへと順次拡大する考えだ。

もっとも、ペ副首相は「すでに料金を支払って海外AIを利用している国民が、すぐに『みんなのAI』へ乗り換えるとは考えていない。既存サービスを上回る機能を提供する必要がある」と述べた。

フィジカルAIでは、データ確保の仕組みづくりを最優先課題に据える。製造業と半導体分野の競争力を生かし、大規模な実証インフラを整備したうえで、実データと合成データの生産を進める方針だ。

ペ副首相は「1年以内にデータ確保の体制を整え、3年以内にワールドモデルやフィジカルAI基盤モデルといった成果を出さなければならない」と語った。

◆AIインフラを6Gへ拡張 国家戦略技術は「K-ムーンショット」で推進

AI時代の中核インフラと位置付ける第6世代移動通信(6G)の整備も加速する。ペ副首相は「エージェント型AIの時代には、AIが扱うトークン量が大幅に増える。その基盤として通信インフラの整備が不可欠だ。6Gを主導するため、通信3社と継続的に議論している」と述べた。

科学技術分野では、国家戦略技術を軸とする「K-ムーンショット」プロジェクトを具体化する。各分野のプロジェクトディレクター(PD)が挑戦的なミッションと目標を設定し、現場の需要や専門家の意見を踏まえて実行計画と必要予算を固める仕組みとする。

ペ副首相は「政策の方向を先に決めてから専門家の意見を聞くのではなく、初期段階から現場ニーズと専門家の見解を十分に集約する。PDが計画を具体化し、実行計画と予算が整い次第、段階的に政策を公表していく」と説明した。

研究開発(R&D)制度の見直しも進める。政府が企業に資金を拠出する従来方式に加え、株式投資やプロジェクトファイナンスを活用する投資型R&Dを拡大する方針だ。

同席したパク・イング科学技術革新本部長は「政府も投資に対する責任を負い、成果物を生み出す過程に参加するという考えのもと、投資型R&Dを広げていく」と述べた。

◆AIデータセンター向け電源を多様化 2035年に独自の低軌道衛星通信網

科学技術情報通信部は、小型モジュール炉(SMR)の技術開発も加速する。AIデータセンターのインフラ需要が今後も拡大すると見込み、原子力や再生可能エネルギーの拡大を含む多様な電力供給策を検討している。

ペ副首相は「現時点で気候エネルギー部と合意しているわけではないが、LNGも選択肢として開いておく必要がある。AIデータセンター向けの専用料金制度も整えるべきだと考えている。科学技術情報通信部、気候エネルギー部、韓国水力原子力がSMR確保戦略を協議している」と明らかにした。

宇宙分野では、2035年の低軌道衛星通信の商用化を目標に、衛星と打ち上げロケットの能力を同時に引き上げる。衛星技術の競争力強化に加え、多数の衛星を打ち上げられるよう、ロケットの打ち上げ頻度と搭載能力の向上も進める考えだ。

宇宙航空庁は当面、月探査にも政策資源を集中し、2029~2032年にかけて異なる任務を担う探査を段階的に進める計画だ。

この日の懇談会では、TVINGの個人情報流出事故に関する調査の進捗も公表した。官民合同調査団は、事故の経緯や流出規模、情報保護の管理体制などを精密に調べている。

チェ・ウヒョク情報保護ネットワーク政策室長は「精密調査を進めている。可能な限り早期に調査を終え、8月中に結果を発表できるよう準備している」と述べた。

ペ副首相は就任2年目に向け、政策成果の創出に加え、科学技術情報通信部の働き方そのものも変革していく考えを示した。「水平的にコミュニケーションし、創造的なアイデアを出せる組織をつくるため、今後1年はさらに力強く運営していく。AI大転換と科学技術基盤社会づくりに向けた準備が成果につながるよう責任を果たしたい」と述べた。

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