ステーブルコインの活用先として、消費者決済ではなく反復的な企業間精算を想定している点が今回の構想の柱だ。写真=Shutterstock

AZ-COMマルワHDが、約2300社の協力会社に対する支払い手段として、円連動ステーブルコイン「JPYC」の導入を検討している。実現すれば、JPYCの企業向け大規模活用の先行事例となる可能性がある。

20日付のCointelegraphによると、対象はトラック運転手を含む配送を担う個人事業主や契約先企業。AZ-COMマルワHDは、こうした協力先に対する報酬や各種支払いをJPYCで精算する案を検討している。

狙いは、支払いサイクルの短縮と送金の迅速化だ。JPYCを活用することで、銀行振込に伴う手数料負担を抑えつつ、従来より高頻度の精算を可能にしたい考えだ。

今回の構想は、物流業界の支払い業務をデジタル資産を活用した決済基盤へ移行する試みと位置付けられる。現場では、多数の外部ドライバーや委託先に対して反復的に代金を支払う必要があり、精算コストや処理速度が業務効率を左右するためだ。

AZ-COMマルワHDはJPYCとの提携も検討している。出資も検討対象となっており、10億円を超える規模が視野に入っているという。単なる支払い手段としての採用にとどまらず、ステーブルコイン事業者との協業もにらむ。

JPYC側も、物流と商取引の決済フローを結び付ける取り組みに意義があるとみている。JPYCの創業者兼CEOであるオカベ・ノリタカ氏は、物流と商業決済フローの統合を引き続き進める考えを示した。

AZ-COMマルワHDは日本の中堅物流企業で、主要顧客にはAmazon Japanが含まれる。同社が実際にJPYCを導入すれば、ステーブルコインの用途が消費者決済にとどまらず、企業間支払いや現場人員への報酬支払いへ広がる可能性がある。

日本の金融機関でも、関連する取り組みは進んでいる。ソニー銀行とJPYCは、顧客口座から円建てステーブルコインを即時購入できる仕組みの実証を計画している。AZ-COMマルワHDの検討は、ステーブルコインが日本の決済インフラで担いうる役割を測る事例としても注目されそうだ。

もっとも、現時点では検討段階にある。導入時期や具体的な運用方法は明らかになっておらず、提携や出資、決済ネットワークの転換をどこまで具体化できるかが焦点となる。

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