欧州投入イベントでロボットや空飛ぶクルマ、自動運転向け半導体も併せて披露したXpeng(写真=Xpeng)

中国EVメーカーのXpengは、ドイツ・ミュンヘンで新型小型SUV「L03」を公開し、EVにとどまらずヒューマノイドロボットや空飛ぶクルマまで視野に入れた「フィジカルAI」戦略を打ち出した。自社開発AIチップとソフトウエアを共通基盤に、事業領域を広げる方針を鮮明にした。

同社は欧州投入イベントでL03を披露するとともに、自社戦略の中核に「フィジカルAI」を据える考えを示した。

XpengのいうフィジカルAIは、自社開発のAIチップと大規模言語モデル(LLM)を、自動車やロボット、電力システムといった実世界の製品に組み込む構想を指す。現在はEV、ヒューマノイドロボット、空飛ぶクルマの3分野に展開しており、今回のイベントは新型車の発表にとどまらず、自動車メーカーから総合技術企業へと軸足を広げる方向性を示す場となった。

L03は最大出力180kWの小型SUVで、欧州のWLTP基準で最大航続距離は445km。価格は3万5600ユーロに設定した。Xpengは、Teslaや現代自動車の競合車種より低い価格帯だとアピールしている。

L03には、同社の海外向けモデルとして初めてGoogleマップ連携機能を搭載する。ユーザーは追加アプリの導入やスマートフォン画面のミラーリングをしなくても、車載ナビ上でGoogleマップを直接利用できる。

この機能はリアルタイムの交通案内、EV向けルート計画、電力消費の推定に対応し、同社の運転支援システム「NGP」とも連携する。Xpengは、アジア太平洋地域の自動車メーカーとして初めて、Googleマップを標準搭載した車載ナビを出荷するとしている。

自動車以外の事業についても、量産化が視野に入ってきたと強調した。ホー・シャオペンCEOは、ヒューマノイドロボットと空飛ぶクルマはもはやSFの世界の話ではないと述べ、ヒューマノイドロボット「アイアン」と空飛ぶクルマ「アリジ」を近く量産する計画を明らかにした。

アリジは約13年にわたり開発してきた製品だという。ホーCEOは、近い将来、欧州の顧客にも空飛ぶクルマを提示する計画だと説明した。

EV、ロボット、空飛ぶクルマはいずれも、Xpengが自社開発した「チューリング」半導体を基盤とする。チューリングチップは、1チップ当たり演算性能750TOPS、40コアのプロセッサを備える。

同社は、共通の半導体とソフトウエア技術を基に、車両、ロボット、空飛ぶクルマを単一の技術プラットフォームで展開する構想も示した。

自動運転分野ではTeslaへの対抗姿勢も鮮明にした。Xpengは2028年までにレベル4の自動運転技術を実現するロードマップを提示した。

ホーCEOは、同社のVLA(視覚・言語・行動)ベースのシステムについて、狭い道路や複雑な走行環境でTeslaのFSDより優れた性能を示すと主張した。

同社の技術は自社車両にとどまらない。Volkswagenは今年3月、Xpengの運転支援システムとチューリングチップを採用した共同開発の初モデルで量産を開始した。

Xpengは、同じ技術体系を活用したロボタクシーの開発も進めている。

欧州市場の開拓も加速する。Xpengは2024年の欧州参入以降、現地で6万台超を販売し、現在は世界65カ国で車両を展開している。中国での累計出荷は100万台を超えた。

ミュンヘンでは欧州向けの研究開発センターも運営している。新型L03は欧州を含む64の国・地域で販売する予定だ。

Xpeng欧州プロダクト責任者のスベン・デ・スメット氏は、同社の立ち位置について「我々は技術を使う自動車会社ではなく、自動車を作る技術会社だ」と語った。

今回の欧州投入でXpengは、価格競争力のあるEV販売を拡大しつつ、自社AIチップと自動運転ソフトウエアを核に、ヒューマノイドロボットや空飛ぶクルマまでつなぐ事業戦略を改めて打ち出した。

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