TSMC(写真=Shutterstock)

TSMCは19日(現地時間)、人工知能(AI)向け需要の拡大を背景に、米アリゾナ州の投資額を1000億ドル積み増し、総額2650億ドルに拡大した。これに合わせ、2026年の年間設備投資(CAPEX)見通しも従来の600億ドルから640億ドルへ引き上げた。

CNBCによると、今回の追加投資は、米国内の半導体生産体制の拡充を目的とする。TSMCは、AIを軸とした需要拡大が今後数年にわたって続くとみており、米国での生産能力増強を急ぐ。

ウェンデル・ファン最高財務責任者(CFO)は、投資拡大の背景として、米国市場での強い顧客需要と政府支援を挙げた。「強い需要はここ数年続いており、その機会を他社に譲るつもりはない」と述べた。さらに、「このメガトレンドが続く限り、株主に収益性の高い成長を提供し続けられる」と説明した。

生産面では、先端プロセスへの移行も進めている。TSMCは顧客需要に対応するため、5ナノの生産能力を3ナノへ迅速に切り替えているとした。アリゾナの第1工場は、4ナノをベースにすでに稼働している。

次世代プロセスも米国投資の中核に据える。ファンCFOは、アリゾナの生産能力は今後数四半期にわたって拡大が続くとの見方を示したうえで、2ナノを新たな成長のけん引役に位置付けた。2ナノは第2四半期に初めて売上計上を始めており、第3四半期には立ち上げを予定しているという。

追加する1000億ドルは、前工程の半導体工場に加え、先端パッケージング設備にも投じる計画だ。一方、TSMCは米国での生産拡大について、当初は利益率の押し下げ要因となる可能性があるとの見通しも示した。ファンCFOは、米国工場の建設コストは台湾の4~5倍に上ると説明した。そのうえで、海外生産の拡大に伴い初期負担は増えるものの、長期的には米国の半導体エコシステムの発展に寄与すると述べた。

株価は決算発表後の取引時間中に1%超上昇したが、その後には7%下落した。年初来では約48%上昇している。ファンCFOは株価の動きについて、「会社が金融市場をコントロールすることはできない」としたうえで、「われわれにできるのは事業のファンダメンタルズに集中することだ」と語った。部材価格の上昇圧力は大きいものの、ハイエンド市場に軸足を置く戦略によって影響は限定的だと付け加えた。

規制対応も並行して進めている。TSMCは中国事業に関し、すべての輸出規制を順守しながら現地顧客への支援を続けていると明らかにした。中国顧客の売上構成比は全体の約8%という。

将来の成長分野の開拓にも取り組む。ファンCFOは、フィジカルAIの広がりを踏まえ、ソニーとのイメージセンサー合弁事業は、特殊プロセス分野で長期的な顧客基盤を広げる戦略の一環だと説明した。TSMCは米国での生産拡大、先端プロセスへの移行、先端パッケージング投資を並行して進め、AI半導体需要の拡大に備える。

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