ビットコインは、米国の6月物価指標が市場予想を下回ったことを受けて持ち直した。ただ、中東情勢の緊迫化に伴う原油高が重しとなり、上値の重い展開が続いている。
CoinPostによると、ビットコインは先週序盤、米国とイランの軍事的な緊張再燃に加え、米株市場の軟調な地合いを受けて弱含んだ。クリストファー・ウォラー米連邦準備制度理事会(FRB)理事のタカ派発言も相場の下押し要因となった。
一方、ドナルド・トランプ米大統領がイランとの和平合意の可能性に言及したことで、下げは一部で和らいだ。
相場の持ち直しにつながったのは米物価指標だ。14日から15日にかけて発表された6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)は、ともに市場予想を下回った。これを受けてビットコインは下落分を取り戻し、一時6万5000ドル台(約975万円)まで上昇した。
Bitbankのアナリスト、ハセガワは、6月の米CPI・PPIの下振れによってインフレ圧力の鈍化が示されたと指摘した。
もっとも、上昇基調は続かなかった。米国とイランの応酬が続くなかで原油価格が上昇し、ビットコインの上値を抑えたためだ。
ハセガワは、米WTI先物が1バレル=80ドル水準(約1万2000円)を試す展開になっていると分析する。原油高が一段と進めば、足元で後退していたFRBの利上げ観測が再び強まり、ビットコインには逆風になり得るという。
ハイテク株の調整も相場の重しとなった。16日にはTSMCが好決算を発表したものの、テクノロジー株に利益確定売りが広がり、ビットコインは6万4000ドル台(約960万円)まで下落した。アジアのテクノロジー株安は米市場にも波及した。
ただ、テクノロジー株安がそのまま業績悪化のシグナルと受け止められたわけではない。TSMCの4〜6月期純利益は前年同期比77%増だった。ハセガワは「業績自体は非常に良好だった」としたうえで、株価調整は期待先行の反動による利益確定の色合いが強いとの見方を示した。
市場では、決算シーズンの本格化に伴い、企業収益の底堅さが改めて確認されるかどうかが、リスク資産全般の投資家心理を左右する材料として意識されている。
今週はTesla、Alphabet、Intelなど主要テクノロジー企業の決算発表が予定されている。利益確定売りが一巡し、企業業績の底堅さが確認されれば、ビットコインにも追い風となる可能性がある。
規制面の動きも注目点だ。米上院は来週、クラリティ法案の本会議採決に向けて日程調整に入る見通しだ。具体的な採決日程が示されれば、暗号資産市場では前向きに受け止められる公算が大きい。
当面の相場の方向感は、原油とテクノロジー株の動向に左右されそうだ。中東情勢が再び悪化して原油高が進めばビットコインの重しとなる一方、原油高が落ち着き、テクノロジー株の利益確定売りも一服すれば、反発基調を維持する余地がある。