ビットコインが、短期的な戻りを試すのか、それとも一段安に向かうのかの分岐点に差し掛かっている。目先の焦点は6万9000ドル(約1035万円)を回復できるかどうかで、買い需要の戻りが鈍ければ、実現価格の5万2891.91ドル(約793万円)が下値目処として意識される。
CryptoSlateが19日(現地時間)に報じた。これによると、ビットコインが直近の買い手の平均取得単価にあたる6万9000ドル近辺を再び上回れば、反発基調が強まる可能性がある。一方、需要回復が確認できなければ、実現価格の5万2891.91ドルが下値リスクの基準として残るという。
足元のビットコインは6万4700ドル台で推移している。6万9000ドルまでは約6.69%の上昇が必要で、5万2891.91ドルまでは約18.22%の下落余地がある。市場は、直近の買い手の損益分岐点を取り戻せるか、それとも保有者全体の平均取得単価の水準まで下押しされるかを見極める局面にある。
足元では売り圧力の鈍化が見られるものの、反発を裏付けるほどの買いはまだ確認されていない。7月初旬以降、長期保有者による損失確定の勢いは弱まり、6月の安値圏で出た売りは相応に吸収された。
ただ、この動きだけで底打ちを断定するのは難しい。長期保有者の損失確定がいったん鈍化したからといって、売りが一巡したとみるのは早計で、価格が落ち着いた後は買い集積の勢いも弱まった。
下値の主要な基準とされる実現価格は、実現時価総額を流通量で割って算出する。現在流通するビットコインが最後にオンチェーンで移動した時点の平均価格を示す指標で、この水準を上回れば保有者全体は含み益に近い状態となり、下回れば市場全体が含み損の局面に入りやすい。
直近の買い手の取得コストも切り下がっている。Glassnodeは8日、短期保有者の平均取得単価を7万2200ドル(約1083万円)、アクティブ市場の平均コストを示す「トゥルー・マーケット・ミーン」を7万6600ドル(約1149万円)としていた。
その後、7月15日時点では、直近の買い手の平均取得単価は6万9000ドル水準まで低下した。ビットコインが現物主導でこの価格帯を回復し、さらに維持できれば、直近の買い手のポジションは上値の売り圧力ではなく、サポートとして機能する可能性がある。逆に回復に失敗すれば、下値リスクの再拡大を意味する。
下落が深まった場合、次の試金石は5万2900ドル台となる。この局面では、まず直近の買い手、その後に長期保有者へと順に圧力が波及する可能性がある。実際、7月初旬には長期保有者の損失確定が全体の実現価値の43%を占め、長期保有者の調整後損失確定額は1日当たり2億8000万ドル(約420億円)近くに達した。これは2022年12月以降で最も高い水準だ。
機関投資家の資金フローもなお強弱が交錯している。7月13日時点の市場パルスではビットコイン現物ETFへの資金流入が純流入に転じたが、2日後に公表された週間レポートでは、償還ペースこそ鈍化したものの、流入回復が定着した状況ではないと分析した。
一時的な資金流入局面はあったものの、継続的な機関投資家の買いに転じたとは言い切れないということだ。
現物市場でも同様の傾向がみられた。取引量は減少し、戻り局面では現物市場の累積出来高デルタがマイナスに転じた。価格は反発したものの、市場全体を押し上げるほど幅広い買いの確信は確認できなかった。
今後の注目点は明確だ。まず、ビットコインが6万9000ドル前後の直近買い手の平均取得単価を、現物買い主導で回復し、その水準を維持できるかが問われる。重要なのは一時的な上抜けではなく、その価格帯の上で定着できるかどうかだ。
そのうえで、7万6600ドル水準のトゥルー・マーケット・ミーンまで回復すれば、市場が深い割安圏を伴う弱気局面にとどまっているとの見方は後退する可能性がある。
一方、6万9000ドルの回復に失敗して再び押し戻され、長期保有者の損失確定が再加速し、買い集積と機関需要の双方が弱まれば、5万2891.91ドルは改めて有力な下値ストレス指標となる。7月のデータは、ビットコインが実現価格の上で底を固める可能性を示したが、最終的な確認には需要回復が不可欠だ。