米フロリダ南部連邦地裁は19日、ランサムウェア被害企業の交渉役を務めながら、犯行グループ側に便宜を図ったとされるアンジェロ・マルティノが隠匿していた暗号資産837万ドル相当の没収を命じた。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、没収対象はマルティノの暗号資産ポートフォリオのほか、フロリダ州内の高級住宅2棟、高級車、モーターボートに及ぶ。裁判所は、これらを違法行為で得た資金によって維持された資産と位置付けた。
暗号資産の内訳は、ビットコイン90.319BTC、モネロ7999.873XMR、XRP5万6174.15XRP、ステラルーメン3万9760.79XLMに加え、少量のSOLという。評価額はビットコインが約584万ドルで最も大きく、モネロは約246万ドルだった。
XRPはウォレット「...EkThx6」から、ステラルーメンはアドレス「...5RJ3BD」から、それぞれ差し押さえられたとされる。
事件では、マルティノが本来は被害企業を支援する立場にありながら、逆に犯行側を利する行動を取っていた点が問題視された。大企業がランサムウェア集団「BlackCat(ALPHV)」の攻撃を受けてネットワークを暗号化された際、マルティノは身代金交渉の責任者として関与していた。
本来の役割は、身代金の減額交渉や暗号資産の送金調整を安全に進めることだった。ところが捜査当局は、マルティノが交渉の過程で被害企業の実際の予算や保険の補償上限を犯行側にひそかに伝え、相手側が支払い能力を踏まえてより厳しい条件を提示できるようにしていたとみている。
その見返りとして、マルティノはビットコインやXRPで一定の報酬を受け取っていたことが明らかになった。
捜査当局は、マルティノが単なる仲介役にとどまらず、攻撃側の要求を実質的に後押しする形で深く関与したと判断した。交渉業務は事実上、被害企業の財務余力を犯行側に知らせる場へと変質し、BlackCat側がより強硬な条件を突き付けられる構図になっていたという。
マルティノの二重行為は刑事処分にも発展した。マルティノは有罪となり、禁錮70カ月の実刑判決を受けた。
今回の資産没収は、違法行為で得た資金源を断つ措置とみられる。事件は、ランサムウェア対応における交渉役と犯行側の利益相反が、現実の金銭犯罪に直結し得ることを示した。当局がビットコインに加え、モネロ、XRP、ステラルーメン、SOLまで追跡し、没収対象を広げた点も浮き彫りになった。