毎日の睡眠時間が1時間あまり短くなるだけでも、体重増加につながる可能性があることが分かった。普段7〜8時間眠る成人を対象にした研究で、就寝時刻を約90分遅らせて睡眠時間が平均78.4分短くなると、6週間で体重が約0.5kg増加した。
MedicalNewsToday(MNT)が7日(現地時間)に、この研究結果を紹介した。
研究チームは、通常1日7〜8時間眠る成人95人を対象に検証した。参加者には、ふだんの睡眠習慣を維持する期間と、通常より約90分遅く就寝する期間をそれぞれ設けた。実際の平均睡眠減少時間は78.4分だった。
研究では、手首装着型のモニターで睡眠と身体活動を追跡し、体重、腹囲、体組成に加え、空腹時の食欲関連ホルモンの変化も調べた。
今回の研究が焦点を当てたのは、極端な睡眠不足ではない。1日4時間睡眠のような特殊な条件ではなく、多くの成人が日常的に経験しうる軽度の睡眠不足が続いた場合の影響を見たという。
研究を統括したコロンビア大学睡眠・概日リズム研究センター設立責任者のマリ・ピエール・サントンジュ氏は、「短い睡眠が続くと、体重や腹囲の増加につながる可能性がある」と説明した。
活動量の低下も確認された。睡眠時間を減らした期間中、参加者の座位時間は1日平均17分増加した。男性と閉経後女性では増加幅がより大きく、1日30分近くに達した。
研究チームは、単に起きている時間が長くなっただけではなく、その増えた時間を活動的ではなく座って過ごす傾向があったとみている。
サントンジュ氏は、過去の研究でも、睡眠を制限すると参加者がより多く食べる傾向を確認していたと述べた。睡眠不足は、食事量の増加と活動量の低下の両面から体重増を促す可能性があるという。
今回の結果は、同じ参加者集団を分析した先行研究とも一致する。心臓代謝リスクが高い女性では、軽度の睡眠制限後にインスリン抵抗性の上昇が確認され、とくに閉経後女性で影響が目立った。
また先行研究では、睡眠不足によって耐糖能やインスリン感受性が低下することも確認された。こうした変化が続けば、将来的に糖尿病予備群や2型糖尿病につながる可能性があるとしている。
別の関連研究では、心血管リスクが高い参加者で、長期にわたる軽度の睡眠制限の後、心臓で炎症性細胞の増加を示唆するシグナルも観察された。研究チームは、睡眠が体重変化だけでなく、代謝や心血管の健康全般にも影響しうることを裏付ける結果だとしている。
一方で研究チームは、睡眠不足がすべての人に直接体重増加をもたらすと断定できるわけではないとも強調した。食事内容、遺伝、ストレス、身体活動など、体重や健康に影響する要因はほかにもあるためだ。
それでも、十分な睡眠は食事や運動と並ぶ健康管理の中核要素として位置付けるべきだとしている。
サントンジュ氏は、睡眠時間を増やすには、まずベッドで過ごす時間そのものを確保する必要があると指摘した。一方で、眠れないまま横になっているだけでは十分ではないという。
そのうえで、生活条件に合わせて起床時間から逆算し、就寝時間を決める方法が現実的だと助言した。夜の活動を減らすか、別の時間帯に移すことも有効だとしている。
さらに、カフェインを取る時間帯や就寝直前の食事、ストレスを高める活動についても見直しが必要だと付け加えた。
研究チームは、毎日約80分の睡眠不足は一見わずかな変化に見えても、長期的には意味のある体重増加につながる可能性があるとみている。今後は、もともと睡眠不足の人で実際に睡眠時間を延ばした場合、肥満や2型糖尿病、心疾患のリスクを下げられるかどうかを追加検証する計画だ。