韓国の金融当局は、親会社の一般株主保護を欠く重複上場を原則として認めない方針を打ち出した。今後は子会社を上場させる際、親会社取締役会が株主への影響評価や保護策の策定を行うほか、案件によっては株主同意の手続きも求められる。
金融委員会と韓国取引所は7日、重複上場の原則禁止に向けた取引所規程の改定案と、関連ガイドラインの制定案について意見公募を開始した。
今回の詳細基準は、3月に公表した「資本市場体質改善策」の後続措置に当たる。金融委員会と韓国取引所はこれまで、3回の公開セミナーと利害関係者への意見聴取を経て、制度案を取りまとめた。
当局は、韓国市場ではこれまで、一般株主の権益侵害が懸念される重複上場が慣行的に進められてきたとみている。とりわけ、親会社の取締役会や支配株主が「子会社上場は子会社取締役会の判断事項」と捉え、親会社の一般株主保護に向けた独自の責任を十分に果たしてこなかったと判断した。
これを踏まえ、金融委員会と韓国取引所は、親会社取締役会に株主忠実義務を前提とする5つの義務を課す。内容は、株主影響評価、株主保護策の策定、株主との意思疎通または株主同意手続きの要否判断、取締役会での賛成決議と子会社への通知、開示の5項目だ。
親会社取締役会が株主同意の採決を実施しない場合は、その理由も開示しなければならない。これらの義務を履行する過程では、独立した特別委員会の審議・議決も経ることになる。
こうした義務は、子会社を韓国内ではなく海外の取引所に上場する場合にも同様に適用する。
あわせて、重複上場に関する特例審査基準も新設する。審査では、子会社の営業・経営の独立性と、親会社投資家の保護が焦点となる。子会社の主力事業が親会社に過度に依存していたり、主要な意思決定が実質的に親会社で行われていたりする場合は、独立性の要件を満たしにくいとしている。
親会社投資家の保護については、親会社取締役会が5つの義務を履行し、賛成決議を行うことが前提となる。加えて、一般株主保護の必要性に見合った保護策が実際に講じられたかどうかも審査対象となる。
保護策の十分性を判断する手段としては、株主同意の取得を原則的に推奨する。株主同意の基準には3%ルールを準用し、3%を超える議決権を制限したうえで、出席株主の議決権の過半数かつ発行済み議決権総数の4分の1以上の同意を求める。
物的分割した子会社については、株主同意を必須とする。通常の子会社については、株主同意を得た場合、株主保護策の要件を満たしたものと推定する。一方、同意を得られなかった場合は、韓国取引所が厳格な個別審査を行う。
重要性の低い子会社には例外も設ける。売上高、営業利益、資産のいずれも親会社比で10%未満なら、株主同意がなくても、親会社取締役会が5つの義務を誠実に履行し、賛成決議を行っていれば、投資家保護要件を満たしたと推定する。
ただし、想定企業価値などを踏まえて重要子会社に当たると判断される場合は、この株主同意免除の例外は適用しない。
今回の重複上場規制は、親会社が上場会社である状態で、その親会社が実質的に支配する、または事実上同一の経済主体とみなされる非上場会社を上場させる場合に適用する。対象は、外部監査法上の従属会社と、公正取引法上の系列会社のうち、垂直的な支配関係にある会社となる。
垂直的支配関係は、親会社が20%以上の持ち分を保有する系列会社、またはその系列会社がさらに50%超の持ち分を保有する孫会社やひ孫会社などを基準に判断する。
金融委員会と韓国取引所は、14日までの予告期間を経たうえで、証券先物委員会と金融委員会の定例会議での議決を通じ、改定案を最終的に施行する予定だ。
制度が施行されれば、大企業グループの子会社上場や、物的分割後の上場手続きでは、親会社の一般株主をどこまで保護しているかが審査の焦点になる見通しだ。
IPO市場では、上場審査の予見可能性が高まる一方、株主同意の取得や保護策の策定に伴う負担が増え、一部企業では上場日程に影響が出る可能性もある。