SK Telecomの乙支路本社(写真=SK Telecom)

SK Telecomは7月5日、蔚山を起点に韓国国内で最大15GW規模のAIデータセンター整備を進める構想を発表した。2029年から計5GWを段階的に稼働させ、2035年までに15GWへ拡大し、韓国をアジアのAIインフラ拠点へ押し上げる考えだ。

AIモデルの学習・推論需要が急拡大するなか、高性能コンピューティング基盤の確保が国家競争力を左右すると判断した。政府が掲げる「AI3強」戦略や地域均衡発展の方針も踏まえ、電力、立地、運営体制、主要顧客の確保などを総合的に検討しながら事業を進める。

まずは蔚山で建設中の第1号AIデータセンターを起点に、嶺南圏で2GW超のAIデータセンタークラスターを整備する。さらに西南圏でも1GW規模を追加で構築する方針だ。

これらを含め、国内で計5GW規模のAIデータセンターを確保し、2029年から順次稼働させる計画。その後は需要動向と投資環境を見極めながら段階的に拡張し、2035年までに最大15GW規模へ広げる。

1GW級のAIデータセンター整備には、高性能なAIコンピューティング基盤の構築やメモリ価格の上昇などを踏まえると、約70兆ウォンの事業費が必要になるとみられる。資金は自社投資に加え、戦略パートナーの出資、顧客との長期契約、プロジェクトファイナンスなどを組み合わせて調達する。

初期投資負担と事業リスクを抑えるため、同社は実需と投資環境を反映した段階展開を採る。用地選定や電力需給、アンカーテナントの確保についても、政府や自治体、産業界と協議を進める。アンカーテナントは、データセンター容量の相当部分を長期契約する主要顧客を指し、大規模案件の収益安定化に欠かせない要素と位置付ける。

同社が大規模整備に踏み切る背景には、世界的なデータセンター需給の逼迫がある。McKinsey & Companyは、世界のデータセンター需要が年率19~22%で拡大する一方、供給が追い付かず、2030年には米国だけでも約15GWの供給不足が生じると見込んでいる。

Amazonも今年、約2000億ドル規模の設備投資計画を打ち出した。世界のビッグテック各社はAIコンピューティング資源の確保に向け、データセンター投資を拡大しており、投資先も米国一極から各地域へ広がりつつあるという。

SK Telecomは、韓国が広帯域メモリ(HBM)などAI半導体の中核部品分野で競争力を持つ点に注目する。原子力や液化天然ガス(LNG)を基盤とする電力供給環境に加え、半導体生産設備の運用を通じて蓄積してきた大規模インフラの管理能力も強みになるとみている。

こうした産業基盤と電力・運営面の能力を組み合わせることで、韓国は世界のビッグテックにとって有力なAIデータセンター投資先になり得るとしている。

今回のプロジェクトには、SKグループ各社が持つ半導体、エネルギー、建設、データセンター運営の能力を投入する。AIデータセンターの整備には、AI半導体やサーバーだけでなく、大規模な電力供給、冷却システム、建設・運営能力が欠かせないためだ。関連するグループ会社が参加し、フルスタックのAIインフラ体制を構築する。

SK Telecomは「AIインフラ設計者」として、データセンターの設計、構築、運営を統括する。NVIDIAやAmazon Web Services(AWS)など世界のビッグテックと進めてきたAIインフラ分野の協業実績も生かす考えだ。

蔚山では、2027年下期の稼働を目標に、AWSとハイパースケール級のAIデータセンターを建設中だ。AWSの技術要件を反映し、AI演算に特化した冷却・電力システムを整備しているという。

同社は蔚山のAIデータセンターについて、長期的には1GW超まで拡張する計画も示した。最近ではNVIDIAと、次世代AIデータセンター「AI Factory」の運営計画も公表しており、2027年の運営開始後、将来的にGW級まで拡大する目標を掲げている。

また、AIデータセンター事業を地域産業と連携させ、地域均衡発展にもつなげる方針だ。整備に当たっては、地域ごとの電力供給環境、産業基盤、用地確保の可能性を見極めたうえで、関連産業との連携策も検討する。

大規模データセンターが整備されれば、世界企業によるAIインフラ投資の呼び込みにつながるほか、韓国内のAI企業や研究機関にコンピューティング資源を供給する基盤にもなると期待を示した。

同社はAIデータセンターを、1968年の京釜高速道路、1998年の超高速インターネットに続く「韓国の第3の国家革新インフラ」と位置付ける。最大15GW規模のAIコンピューティング基盤を確保し、韓国をアジアのAIインフラ中核拠点へ育成する狙いだ。

チョン・ジェホンSK Telecom最高経営責任者(CEO)は「今回のAIデータセンター整備は、グローバルAIエコシステムが必要とするコンピューティングインフラを先行して整えるためのものだ」とコメント。「政府、産業界、地域社会と緊密に協議し、韓国がアジアの中核AIインフラ拠点へ成長するうえで貢献していく」と述べた。

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