写真=onsemi。今回の売却は生産縮小ではなく、コスト構造見直しの一環という。

半導体メーカーのonsemiが、コスト削減と収益性改善に向けて米国とフィリピンの生産拠点2カ所を売却する。7日付でCryptopolitanが報じた。半導体市況の減速に加え、Synaptics買収後に意識されている財務負担への対応として、事業構造の見直しを進める動きとみられる。

売却対象は、米ペンシルベニア州のMountain Top工場と、フィリピンのTarlac生産施設。資産再編によって、年間約3500万ドルのコスト削減を見込む。

まずMountain Top工場は、スウェーデンのMEMS専業メーカーSilex Microsystemsが取得する予定だ。取引完了の目標時期は2028年1月までとしている。

完了時期を長めに設定したのは、生産移管に時間を要するためだ。onsemiは同工場で生産していた製品を自社の別工場へ段階的に移し、顧客向け供給への影響を抑える方針。onsemiとSilex Microsystemsは、長期の移行期間を通じてサプライチェーンの安定維持を重視すると説明している。

もう一つの売却先は、フィリピンのTarlac工場だ。台湾の半導体後工程企業Greatek Electronicsが取得し、取引は3~6カ月で完了する見通しという。

移管期間中は、生産と顧客向け供給を安定的に維持するため、関係各社が連携する。onsemiも工場運営を止めず、生産移管と顧客支援を並行して進める方針だ。

業界では今回の売却について、単なる資産処分ではなく、収益性重視の事業再編と受け止める見方が出ている。自動車向け、産業向け半導体の需要減速で市場成長が鈍るなか、生産能力の拡大よりコスト効率を優先する動きが強まっているためだ。

Synaptics買収後は、財務負担に対する投資家の懸念も意識されているという。onsemiは約70億ドル規模の全額株式交換でSynapticsを買収したが、その後、株価は約23%下落した。市場では、買収に伴う財務負担や統合コストが重荷として受け止められたとの見方がある。

このため、onsemiにとっては生産拠点の整理による固定費削減と収益性改善が優先課題に浮上した。今回の売却によるコスト削減は、市況減速局面でも収益性の下支えにつながるとみられる。

一方、生産移管にはリスクも残る。移管が計画より遅れたり、切り替え過程で問題が発生したりすれば、顧客向け供給に影響が及ぶ可能性がある。onsemiが取引日程と供給継続を繰り返し強調しているのは、こうしたリスクの抑制を意識した対応とみられる。

今回の工場売却は、資産処分にとどまらず、コスト構造の見直しと収益性回復を狙う再編策として注目される。計画通りに削減効果を実現できるか、生産移管を滞りなく終えられるかが今後の焦点となる。

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