SBI証券と大和証券が、海外投資家が日本のデジタル証券に投資できる取引体制の構築に乗り出した。早ければ2027年にも、海外投資家向けの取引開始を視野に入れている。
CoinPostが8日に報じたところによると、今回の取り組みは、これまで国内居住者が中心だった日本のデジタル証券市場を海外投資家にも広げるのが柱だ。ブロックチェーン基盤のデジタル証券を通じて、海外から日本資産に投資できる枠組みを整備する。
7日付の日本経済新聞によると、両社はSBI HoldingsとNomura Holdingsが出資するフィンテック企業BOOSTRYと連携し、シンガポールとの直接取引基盤を実証した。実証は日本証券業協会など自主規制機関の承認を得て進められ、実用化を見据えた段階に入っているという。
取引の仕組みは、パブリックチェーンを活用して海外と直接接続する形を想定する。これまで日本で流通してきたデジタル証券は事実上、国内投資家向けが中心だったが、今回は法令や税制面も踏まえ、シンガポールとの取引を可能にする設計とする。
海外投資家は、SBI Holdingsまたは大和証券グループのシンガポール側の口座開設先を通じて、日本のデジタル証券に投資する仕組みを利用する見通しだ。投資対象は債券型商品に限らず、社債や不動産のほか、アニメなどのコンテンツ、酒類も対象に含める方向で検討している。
決済手段としては、米Circleが発行する米ドル連動のステーブルコインの活用を検討している。将来的には円連動ステーブルコインの導入も視野に入れる。越境取引の決済効率を高めるため、決済インフラにステーブルコインを組み込む案も議論されている。
今回の構想は、日本資産への海外資金流入に加え、日本の投資家による海外デジタル証券への投資につながる可能性もある。SBI証券と大和証券は中長期的に、自社顧客がシンガポールのデジタル証券に投資できる仕組みについても検討している。
対象国はシンガポールにとどまらない可能性がある。両社は、シンガポール以外の国との取引の可能性についても追加で検証する方針だ。日本のデジタル証券市場は、国内流通中心から海外連携を視野に入れた市場へと転換を探る段階に入りつつある。
今後の焦点は、実際の取引開始時期と決済手段の具体化だ。2027年の開始が現実味を帯びれば、日本のデジタル証券はパブリックチェーン、ステーブルコイン、海外口座の仕組みを組み合わせた越境取引に本格的に踏み出す可能性がある。