暗号資産決済カードのイメージ(写真=Shutterstock)

暗号資産決済カードの週次チャージ額が6月、過去最高を更新した。暗号資産市場の売買が全般に低調な中でも、決済分野では底堅い需要が続いており、ステーブルコインの普及とフィンテックサービスとの連携が利用拡大を後押ししている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが7日(現地時間)に報じたところによると、6月は暗号資産を基盤とする10のカード関連プロジェクトで利用額や取引規模がピークを記録した。7月第1週にも、上位5プロジェクトが利用実績を更新したという。

市場心理が冷え込む中でも、カード領域だけは相対的に強い需要を維持している点が注目されている。暗号資産決済カードの決済規模はすでに100億ドル(約1兆5000億円)を超えており、市場ではオンチェーンサービスの中でも実需が確認できる領域として改めて評価する動きが出ている。

利用拡大の背景には、ステーブルコインの普及とフィンテックサービスの接続強化がある。カードへの資金流入が増え、チャージ額が過去最高となったほか、決済額も高水準に達した。

もっとも、直近の伸びをそのまま持続的な需要とみるのは早計だとの見方もある。足元ではカードプロジェクト各社がポイント還元競争を強めており、積極利用者に対するトークンのエアドロップ期待が利用を押し上げている可能性があるためだ。

ネットワーク別では動きに差もみられた。7日時点で資金流入が最も多かったのはTRONとBNB Chainを基盤とするカードだった。一方、実際の支出規模ではOptimism、Base、Arbitrum基盤のカードがより大きな存在感を示した。

TRONとBNB Chainのカードに資金が集まった背景としては、RevolutがUSDT対応を終了した影響も指摘されている。ユーロ圏外を主な対象とする暗号資産カードでは、引き続きUSDTへのアクセスを提供しているためだ。

カード市場の拡大は、暗号資産ネオバンクの存在感も高めている。市場参加者の間では、暗号資産カードとネオバンクの影響力は一段と強まっているとの見方が出る一方、慎重論もある。規制当局による審査が厳格化すれば、一部地域でサービス提供が難しくなる可能性があるためだ。

規制対応は事業継続性を左右する主要な変数として浮上している。Blend Moneyの最高経営責任者(CEO)、アナ・ガブリエラ・オヘダ・カラカス氏は「今後18カ月で、すべてのネオバンクが生き残れるわけではない」と述べ、特定のプロジェクトは市場へのアクセスを失う可能性があると警告した。

同氏はまた、暗号資産関連活動の拡大に伴ってコンプライアンス基準も引き上げられており、バッチ処理ではなくリアルタイムで制裁対象の照合を行う必要があると指摘した。

利用者保護の面でも課題は残る。カード取引は個人間送金と異なり実店舗やオンラインでの決済を伴うため、顧客確認(KYC)に加え、制裁逃れや不正資金利用の有無についても、より厳格な基準が適用される。

ただ、暗号資産カードでは資産の帰属やカストディ方式に統一的な基準がない。このため利用者は、カードごとの利用規約や資金保管の仕組みを自ら確認する必要がある。

こうした中、Solanaエコシステムでカードを発行する事業者の1社であるKASTでは、最近カストディを巡る問題が表面化した。利用者の預託資産が実質的に事業者側の管理下に置かれ、利用者のステーブルコインを統制し得る構造だったことが明らかになったという。

市場では、アクセス可能なウォレットに資金を保管し、凍結リスクを抑えやすい自己カストディ型カードの方が有力な代替手段になり得るとの見方も出ている。

暗号資産決済カード市場は、ステーブルコインの拡大と実需に裏付けられた決済需要を背景に急拡大している。一方で、ポイント還元競争やエアドロップ期待による短期需要、地域ごとの規制リスク、各社のカストディ構造の違いも表面化しており、今後の市場再編につながる可能性がある。

市場では、暗号資産ネオバンクのチャージ額がこの1週間で過去最高を更新し、2億4500万ドルを超えたとの観測も出ている。これは従来最高を18%上回る水準だという。

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