ByteDanceの自社CPU開発は、AIサービス拡大に伴う半導体戦略の見直しを映す。画像=Reve AI

TikTokを運営するByteDanceが、次世代の自社CPU開発を加速している。AIサービスの拡大で演算需要が急増するなか、GPUへの依存を抑え、自社半導体の活用を広げる狙いだ。

TechRadarが現地時間7月7日に報じたところによると、ByteDanceは2027年初までに次世代自社CPUの設計を完了し、同年後半に量産と社内サービスへの導入を始める計画という。2025年末からは初期版の自社プロセッサを一部システムに投入しており、後続チップの開発日程の前倒しも検討しているとされる。

背景にあるのは、AI事業の拡大に伴う計算需要の増大だ。ByteDanceは生成AIチャットボット「Doubao」や動画生成AI「Seedance」を軸にAI事業を急速に広げており、データセンターの負荷も高まっている。とりわけエージェント型AIの普及により、従来とは異なる計算基盤への対応が必要になっている。

従来の生成AIでは、GPUによる行列演算が中核を担ってきた。一方、AIエージェントでは、タスク計画や意思決定、メモリ管理、ソフトウェア実行など、より汎用的な処理の比重が高まる。このため、GPUに加えてCPUの役割も大きくなっている。

こうした変化を受け、ByteDanceは外部GPUへの依存を引き下げ、自社プロセッサを軸にインフラ構成を見直す構えとみられる。TechRadarは、次世代AIシステムについて「調整や意思決定、メモリ管理、ソフトウェア処理の重要性が増しており、計算基盤はGPU単独から汎用プロセッサとの協調へ移りつつある」と伝えた。

開発スケジュールは想定より早まる可能性もある。業界では、設計完了後の最終工程にあたるテープアウト(Tape-out)の時期を前倒しする案も検討されているとの見方がある。ByteDanceは半導体開発計画を公式には明らかにしていないが、社内では複数のチップ開発を並行して進め、自社半導体の能力拡大を図っているとされる。

開発では外部企業との協業も進める。ByteDanceは米半導体メーカーのQualcommと連携し、設計開発を加速するとともに、ファウンドリーの製造能力確保も進めているという。設計だけでなく、生産量の確保が重要課題であることを示している。

米国の対中半導体輸出規制も、自社チップ開発を後押しする要因となっている。米政府はNVIDIAのH100やH20など高性能AI半導体の中国向け輸出を制限してきた。こうした環境下で、中国の大手テック企業は外部サプライチェーンへの依存を抑えるため、自社半導体の開発を急いでいる。

市場では、ByteDanceの自社チップ戦略が中長期的に半導体業界へ影響を及ぼす可能性があるとの見方も出ている。自社CPUの導入が本格化すれば、ArmやIntel、AMDなど汎用プロセッサ供給企業の需要の一部が縮小する可能性がある。対中輸出規制の影響を受けるNVIDIAにとっても、社内代替チップの拡大は新たな変動要因となり得る。

こうした動きは、世界のビッグテック各社の流れとも重なる。GoogleはTPU、AmazonはTrainiumとGraviton、Microsoftは「Maia」をそれぞれ自社開発し、コスト削減と性能最適化を進めている。ByteDanceも大規模AIサービスを背景に、用途特化型の半導体を確保して長期的な競争力の強化を目指しているとみられる。

今後の焦点は、ByteDanceがテープアウトの時期を正式に示すかどうかだ。日程が明らかになれば、同社の半導体事業が研究開発の段階を超え、AIインフラ戦略として本格化していることを示す材料となりそうだ。

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