暗号化メッセージとビットコイン送金を1つのアプリで使えるモバイルメッセージアプリが登場した。Radar Chatは、チャット画面から直接ビットコインを送受信できる設計を採用し、暗号資産の日常決済の使い勝手向上を狙う。
米ブロックチェーンメディアDecryptが7日(現地時間)に報じたところによると、Radar Chatは、エンドツーエンド暗号化メッセージ機能と非カストディアル型ビットコインウォレットを組み合わせたモバイルアプリを公開した。iOSとAndroidに対応し、個人間のチャット画面からそのままビットコインを送金できる。
最大の特徴は、メッセージ機能と暗号資産ウォレットを単一のサービスにまとめた点にある。従来は会話の後に別のウォレットアプリを開いたり、ウォレットアドレスを共有したりする必要があったが、Radar Chatではそうした手間を省き、会話の流れのまま送金できる。
送金には、ビットコインのレイヤー2決済ネットワークであるLightning Networkを使う。Lightning Networkは、ビットコインのメインチェーンに比べて高速かつ低コストの取引を可能にする技術で、少額決済を中心に利用が広がってきた。Radar Chatは、最大5000ドル相当の決済を検証済みだとし、実際の送金上限はアプリ側ではなくLightning Networkの流動性に左右されると説明した。
セキュリティ面では、非カストディアル型の設計を採用し、秘密鍵は利用者自身が管理する。運営側が利用者の資産を保管・管理しない仕組みで、初期設定時には別端末で資産を復元できるシードフレーズも提供する。さらに、Signalアカウントを基盤とした暗号化バックアップ機能も復旧手段として備えた。
このプロジェクトは、Cake Wallet創業者のビクラント・シャルマが率いる開発チームが公開した。ただ、Radar ChatはCake Walletとは別の独立企業だとしている。メッセージ機能はSignalのオープンソースプロトコルをベースに開発したが、Signalとは別プロジェクトだという。
シャルマは、メッセージと決済が依然として分断されていることが開発の発想の出発点だったと説明した。「メッセージをやり取りする相手と送金相手はほとんど同じなのに、機能は分かれている」とし、実績のあるプライバシー技術の上にビットコイン決済を組み合わせる方針を選んだと述べた。
中央集権型の決済サービスとの違いも強調した。シャルマは「PayPalやCash App、Venmoは便利だが、事業者側が資金を保管し、口座凍結や取引履歴の確認も可能な構造だ」と指摘した。そのうえで、Radar Chatは利用者自身が資産を管理する非カストディアルモデルを通じて、資産管理の主導権を利用者に戻すことを目標に掲げた。
Radar Chatは、昼食代の割り勘や友人間送金、チップの支払いといった日常の少額決済を主な利用シーンとして想定する。メッセージアプリと暗号資産ウォレットを別々に使っていた従来の体験を1つにまとめたことで、実際の利便性がどこまで受け入れられるかが普及の焦点となりそうだ。
同社は紹介投稿で、「Your messages. Your Bitcoin. Together, at last. Radar brings private messaging and self-custodial Bitcoin Lightning together in one seamless experience, and because it's built on Signal's incredible network - the people you already talk to come with you.」と説明している。