Mercedes-Benzが、小型Gクラス「ベイビーG」の生産拠点としてハンガリーを検討しているもようだ。製造コストを抑え、Gクラスのブランド価値を維持しながら、従来より手の届きやすい価格帯へ裾野を広げる狙いがあるとみられる。
6日付のEVメディアInsideEVsによると、同社はベイビーGの生産候補地として、ハンガリー・ケチケメートの新工場を有力視しているという。Gクラスはこれまでドイツ生産の高級SUVとして位置付けられてきたが、小型モデルではコスト競争力を優先し、生産戦略を見直す可能性がある。
背景にあるのは、全社的な生産コスト削減の方針だ。Mercedes-Benzは2024〜2027年に生産コストを10%引き下げ、2030年までに削減幅をその2倍に広げる計画を示している。比較的人件費の低いハンガリーを活用することで、収益性とプレミアムブランドの両立を図る考えとみられる。
ベイビーGは当初、EV専用モデルとして投入されるとの見方があったが、足元ではEVと内燃機関の双方に対応する次世代プラットフォーム「MMA(Mercedes Modular Architecture)」を前提とした開発に軸足を移したと伝えられている。Mercedes-Benzはすでにドイツ・ラシュタット工場とハンガリー・ケチケメート工場でMMA車の生産体制を整えており、今年初めにはAクラスの生産をドイツからハンガリーへ移す計画も公表している。ベイビーGも同じ流れに沿う公算が大きい。
もっとも、生産コストが下がっても、販売価格が大幅に引き下げられる可能性は高くない。ベイビーGは、Gクラスのプレミアムイメージを保ちつつ、現行Gクラスより負担を抑えた高級SUVとして位置付けられる可能性がある。
モデルの性格付けも、従来のGクラスとは一定の差別化が進みそうだ。外観はGクラスらしいデザインを継承するとみられる一方、オフロード性能は大型Gクラスに及ばない可能性が高い。
MMAは基本的にオンロード走行を主眼に設計されたアーキテクチャであり、従来のGクラスが持つ本格的な悪路走破性をそのまま再現するのは容易ではないとみられる。
それでもMercedes-Benzは、一定水準のオフロード性能は確保する方針とされる。電動クロスオーバーのGLB EVより高い最低地上高や、改良型サスペンションの採用が取り沙汰されている。駆動方式については、現行のGクラスEVのような4モーター方式ではなく、より一般的なデュアルモーター、あるいは前輪駆動ベースの四輪駆動を採用するとの見方がある。さらに、Haldex式AWDを採用する可能性も指摘されている。
こうした戦略については、実際の購買行動を反映したものだとの見方もある。Gクラスの購入者の多くは、極限的なオフロード性能よりも、デザインやブランド価値、ラグジュアリー性を重視しているためだ。ベイビーGも、ライフスタイル志向のプレミアムSUVとして市場に定着する可能性がある。
ベイビーGは、EVと内燃機関の併存、欧州生産拠点の再編、Gクラスのブランド拡張という3つの課題を同時に背負うモデルになりそうだ。最終的な生産地の決定に加え、パワートレイン構成とGクラス固有のアイデンティティをどこまで維持できるかが、今後の焦点となる。